関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

弁護士偏在問題~ひまわり~弁護士偏在問題~ひまわり~

ひまわり No.18

平成27年12月発行(本記事に記載された内容は本冊子発行時点のものです。)

都内の「地域密着型」事務所を目指して

東京弁護士会   木村 康之

1.はじめに

 平成25年9月20日に、「弁護士法人きぼう支所 練馬大泉きぼう法律事務所」を開設しました。私が所属している「弁護士法人きぼう」では、法人として「人々の生活する場の近くで人々に寄り添う取り組み」をめざしており、その取り込みの一環として、本所である東京きぼう法律事務所を基幹に、これまで新潟県柏崎市(平成24年3月)、同県糸魚川市(同年8月)に支所を開設してきました。「練馬大泉きぼう法律事務所」は、法人として3つ目の支所になります。
私自身は、弁護士になってから最初の3年間は銀座の事務所で執務し、東京きぼう法律事務所に移籍した後、練馬大泉きぼう法律事務所の開設に伴い、同事務所に赴任しました。開設からこの原稿を書いている平成27年10月現在まで、私1人のみ所属(事務局なし)の事務所でしたが、ちょうど今月、弁護士1名と事務局1名が新たに加わることになっています。

2.地域の状況

 当事務所の所在地である練馬区大泉地域は、練馬区(東京地裁本庁管内)と西東京市(東京地裁立川支部管内)の境に位置しており、当事務所からは、東京地裁本庁、同立川支部のいずれも電車で約1時間程度の距離があります。裁判所へのアクセスが良くないためか、人口や駅の乗降客数に比して弁護士の数は非常に少なく、事務所の最寄り駅である大泉学園駅の周辺にある法律事務所は当事務所のみとなっています。
また、この地域の特色として、東西の移動(西武池袋線が利用可能)と比べて、南北の移動が非常に大変である(公共交通機関がバスのみ)ということが挙げられます。当事務所の南北には、車が日常の足となっている地域が広がっており、そのため、法律相談にお越しになる方から「駐車場はありますか?」と聞かれることが少なくありません。当事務所に駐車場がありませんので、車での来所を希望される方には近隣のコインパーキングを利用していただいています(反対に、私がこういった地域に現地確認に行く際には、事務所に置いてある電動自転車が大活躍しています。)。

3.事件の種類

 事務所開設後から、地域にお住まいの皆様から多くのご相談をいただいており、相談件数は年を経るごとに増えてきています。相談や事件の内容が特定分野に偏るようなことはなく、取扱分野は、相続・交通事故・離婚・債務整理・建物明渡しといった、地域にお住まいの皆様の身近にある問題全般にわたっています。
事務所の相談や受任事件が増える一方で、弁護士会の法律相談や、当番弁護、国選弁護を担当する時間的な余裕がなくなり、これらを担当する機会は激減しました。私は刑事事件に関心があり、これまで当番弁護や国選弁護にも力を入れて取り組んできましたので、これらを担当する余裕がないことは少し残念に思っています。

4.執務の状況

 上記のとおり、裁判所への移動に片道1時間程度はかかりますので、1日に何度も事務所と裁判所を往復することはできません。そのため、裁判期日は、午前であれば朝早めの時間を指定してもらい期日が終わり次第事務所に行く、午後であれば夕方遅めの時間に指定してもらいその後は自宅で執務する、午前と午後の両方に期日が入っている場合には弁護士会館の会員室で執務するなど、なるべく事務所と裁判所を往復しないで済むよう工夫しています。
もっとも、弁護士会の会務(委員会)や研修などに参加する時間まではなかなか確保することができず、弁護士会館まで行かなくてもこれらに参加する方法があれば…、と思うこともしばしばあります。

5.生活について

 自宅が裁判所と事務所の中間にある関係で、裁判所の用事を済ませた後は直帰して自宅で執務するなど、自宅で執務する時間がかなり多くなりました。当初は事務所内のPCのデータをいちいち自宅に持ち帰るのが面倒でしたが、自宅から事務所のデータサーバにアクセスできるようにし、電話は携帯に転送、ファックスもメールで転送されるようにしたことで、自宅でもほとんど事務所と変わらずに執務ができるようになっています。
自宅から事務所への通勤時間は電車で30分ほどですが、自宅から事務所に向かうのが下り電車となる関係で、行き・帰りとも電車は非常に空いており、通勤は非常に快適です。また、自宅から事務所まで約12kmと、趣味のマラソンの練習に丁度良い距離なので、秋から冬にかけては、事務所から自宅まで1時間程度かけて走って帰ることもよくあります。

6.事務所を開設して感じたこと

 事務所開設以来、ご相談にいらした方のほとんどが近隣にお住まいの方で、「電車を使わずに、家から徒歩や自転車で行ける範囲で相談したい。」というニーズの高さを改めて実感しています。都内でも、周辺に法律事務所の存在しない駅は少なからず存在しており、たとえ裁判所からの距離が遠くても、そういった場所で「地域密着型」の事務所を開設し、展開していくことには大きな可能性があるのではないかと感じています。

以上

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