わが町相模原(平成10年度)
横浜弁護士会  大谷 豊

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 昭和56年12月6日、東京弁護士会に所属していた父(後に横浜弁護士会に登録替え。)が脳内出血により倒れ、それまで暢気に構えていた私は、一念発起して真剣に司法試験に挑戦する決意をすることになったが、父を亡くして1年後の平成2年に合格、父の墓前への報告となってしまった。
 大分県出身ではあるが横浜をこよなく愛した父を持つ私は、相模原で生まれ相模原で育った純粋の相模原人であるとの思いと、相模原に横浜地家裁相模原支部が新設されるとのことから、横浜を司法修習地に選択し、平成5年司法研修所を卒業後横浜弁護士会に登録して、相模原に事務所を構え、弁護士としての第一歩を踏んだ。
 研修所卒業当時の年齢は42歳と高齢であるにも関わらず、無謀にも検察官への途も考えていたが、父の地盤がある、解らないことがあれば何でも聞きなさい、との研修所の教官や修習地指導官、並びに諸先輩方の助言を信じ(真意は任官、任検等土台無理だというところにあったようである。)、イソ弁の途も取らず、当初から独立開業することになった。

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 横浜地家裁相模原支部の開設にあわせて、弁護士会本部では弁護士会相模原支部設置の準備を進めていたまさにその年に弁護士登録をした私は、登録直後から相模原支部設立準備委員会の委員に任命された。弁護士の仕事内容も全く分からない私にとっては、委員として内容のある発言や仕事など出来るものではなく、ただ右往左往しながら下働き程度のことをしているうち、平成6年4月横浜地家裁相模原支部開設とともに弁護士会相模原支部が設置され、相模原支部が動き始めた。
 横浜地家裁相模原支部管轄地域は相模原市、座間市、津久井郡城山町、津久井町、相模湖町、藤野町であり、総人口は約80万人である。
 裁判所は、JR相模原駅から徒歩で20分ほどの場所に設置されたことから、弁護士会本部の会員から不便だとの苦情をかなり聞くが、実は相模原市役所から徒歩2分足らずのところでまさに相模原の心臓部といっても過言ではなく、周辺には老舗の料亭や飲み屋が多数存在し、活気のある地域である。
 また、この地域はかつては外食産業のファミリーレストランの激戦地で全国的に名をはせたが、現在では家電量販店の激戦地として全国に知れ渡っている。生活していく上で全く不便を感じさせない地域である。
 弁護士会相模原支部は、設立当初は19名が登録されたが、平成10年度は26名と会員数が増加し、今後も増加する状況である。
 支部管内の人口は約80万人であるが、近隣には境川を隔てて町田市、八王子市が、相模川を隔てて愛川町、厚木市があり、支部会員の扱う実質的な人口は約130万人を超えるものとなっており、会員数の増加は現会員の歓迎するところである。但し、町田市、八王子市は東京地家裁八王子支部が管轄であり、愛川町、厚木市は横浜地家裁小田原支部が管轄であるため、多くの支部会員は、相模原支部・横浜地家裁本庁にとどまらず、八王子支部や小田原支部にまで赴き、活動している状態である。
 支部会員の多くは、相模原市役所の法律相談(但し、これは支部担当ではなく、昭和50年頃から相模原・町田在住の弁護士が、相模原に裁判所を!との運動とともに発足した地域の弁護士で構成される相模原法律家協会が担当しており、支部会員のほとんどが相模原法律家協会に所属している。)、県の法律相談、国選弁護、破産管財人、当番弁護士等を担当し、弁護士会本部の会務もそれぞれ受け持ち、活発に活動している。

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 開業当初は事務員の給料も支払える蓄えもあるわけではないので、妻を事務員として弁護士業を開始した。諸先輩方の助言があたったのかどうかは解らないが、開業当初からぱらぱらと事件があり、日々の生活費を賄うことができた。もっとも、この当時地域住民は権利意識が薄く、相談者の第一声は、近隣の人が昨日横浜に行った、裁判沙汰だけは避けてほしいであり、これは裁判所に行くだけで周りに噂が流れ、訴えを提起すること自体が恥ずかしいことだとの考えに基づくものと思われ、それ故訴え提起の手続きをとることが難しく、ひたすら示談・和解の仲介に専念する毎日で、訴状の起案は数えるほどであった。
 開業2年目の平成6年に裁判所が開設され、弁護士会相模原支部が活動を開始するようになると、事件数が急増し、且つ地域住民の意識に変化がみられ、裁判沙汰!という言葉を聞くことがなくなってきた。私の弁護士業務の出発点はこの時期であり、事務員も正規に雇った。
 その後刑事事件は、私選・国選を含め月平均2件ほど担当し、一般民事事件の相談者や依頼者も急増し、現在3人の事務員体制で日々の事件処理をしている。
 私は、弁護士会相模原支部設立当初から現在まで支部役員を担当させてもらいながらも支部活動の活性化の一役を担っていることや、当番弁護士、国選、破産管財人などを担当していることなどから、横浜弁護士会の会務としての委員会に思うように出席できないのが残念でならない。
 現在では相模原管内の事件の特質はなく、ただ、最近ではサラ金事件、破産事件が急増傾向にあると思われる。この度弁護士及び司法書士を対象とした債務整理のパソコンソフト「さいむ整理くん」は支部会員の意見を聞きながらパソコンマニアの支部会員が作成したものであり、この傾向を裏付けるものとなっている。

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 私は妻と19歳になる大学1年生の娘1人の3人家族で事務所から徒歩3分のマンションに住居を構え、いわゆる職住接近の生活を送っている。職住接近にはいいところもあり、また悪いところもある。9時、10時まで仕事をしてもすぐに自宅で食事をとることができるし休むこともできる点ではメリットであろうが、寄り道がしにくい点や仕事の切り替えに工夫を要する点などにデメリットがあるように思われる。
 娘が法学部に入学したことも契機となり最近思うことは、弁護士登録をして6年になろうとしている現在、弁護士としての地位に甘えがあるのではないか、在野法曹人として地域住民と誠意ある対応ができているのだろうか、依頼者に対してはどうだろうかなど改めて見つめ直し地域住民と共に歩むよう自らを研鑽していく時期に来ていると考えるこのご
ろである。