| 下妻に戻って(平成11年度) |
| 茨城県弁護士会 栗山 学 |
T 下妻支部について 下妻支部は茨城県のほぼ西部地域(下妻簡裁区域、下館簡裁区域、古河簡裁区域)を管轄とし、6市3郡(11町2村)からなり、人口が約60万人くらいの地域です。地域全体としては農業、畜産が産業の中心といえると思います。 弁護士は下妻支部に7名登録しています。古河市に2名、下妻市に2名、下館市に1名、結城市に1名、そして本年2月から地元出身の先輩が東京から茨城県に登録換えをされ、下妻支部に戻って来られました。 U 茨城県弁護士会への登録替えの理由 私は、45期で、登録7年目ですが、5年間東京で勤務し、6年目の平成10年3月下旬に東京弁護士会から茨城県弁護士会に登録換えをし、下妻支部で事務所を開設しました。私は、実家が下妻市内にあり、下妻で育ったことから、いずれ下妻支部で仕事をすることができればという気持ちを持っていました。登録換えをする3年くらい前から下妻支部では弁護士が足りないという話を友人、知人から聴いていたことや、親のことも気にかかり下妻で仕事をすることに決め戻ってきました。 V 仕事の内容 @下妻に戻った当初は、すぐに何件も仕事の依頼があるはずはないと思いましたので、事務員さんを頼まず、数ヶ月は、1人で仕事をしており、内容証明郵便も1人で出しに行き、外出時は留守電にしていました。 ただ登録換えをしてみると、その月から国選事件を数件担当するようになり、次第に弁護士会に問い合わせた人からの相談や知人からの相談なども受けるようになり、水戸の先生方からも仕事を紹介して頂くようになり事件として受任することも出てきました。また、接見や記録閲覧などで外出する時間帯が多くなり、外出中の電話がとても気になるようになったため、お盆明けから事務員さんに来て貰うことにしました。 A登録換えして約1年9ケ月が経ちますが、仕事の面では、事件数、処理件数とも国選事件の占める割合が多いです。平均して月4件くらい担当しているのではないかと思います。道交法違反、業過致死傷、薬物犯罪、窃盗、オーバーステイ等が大変に多い感じがしますが、その他傷害、詐欺、横領、強盗等いろいろな事件をこの1年数ヶ月で経験しました。 当番弁護については、随時待機制であり、弁護士会からの問い合わせにより、スケジュール上一番早く対応できる弁護士が担当することになっています。私の場合は、年4、5件くらい出動したのではないかと思いますが、随時待機ですので、その日に行けないこともあり、1、2日後になってしまうということもあります。 少年事件も下妻で初めて経験し、今まで数件付添人になりました。ただ少年鑑別所が水戸にあるため、審判までに、記録の検討ができるか、面会が十分に可能かといった時間的な問題があるため、受ける場合には最優先のスケジュールを組まなければなりません。同様にスケジュール調整の点では外国人事件の場合も同じであり、しかも件数が多く、通訳の先生との接見日時の調整が必要であり、接見場所が遠い場合にはすぐに面会に行けないこともあります。 B民事関係では、弁護士会を通しての相談でも多重債務の相談は多く、また、市の法律相談などでも多重債務の相談が毎回のようにあるように感じています。私も、年20件近く、破産申立を行いました。また商工ローンの取立に関しても保証人からの相談や依頼が何件か続きました。 また反対に個人間の貸金や代金の回収の相談なども多いように思います。その他離婚、遺産分割、土地所有権の確認、登記を巡る紛争、交通事故に関する紛争なども多いと思います。管財事件も5件ほど担当しています。 法律相談に関しては、平成10年10月から下妻でも法律相談センターが設けられ、週1回3時間の相談を、支部の弁護士が順番で担当しています。 C私の場合、現在のところ下妻支部の事件がほとんどであり、その他は土浦に数件、稀に水戸、浦和へ、そして控訴事件で東京へ行く程度ですが、下妻市内から東京や浦和へ行くのは不便です。電車は、約1時間に1本の割合で下館と取手を結んでいる関東鉄道常総線だけであり、東京での控訴事件があると少なくとも半日がかり、午後であれば、一日がかりにもなりかねません。この点、古河、下館と違っているかもしれません。 W 生活面 私は、職住接近で通勤の負担がほとんどなくなりました。この点が東京で勤務していたときと激変したところです。電車の時刻に合わせて家を出る必要もなくなり、その点では大変に楽になりました。 その代わり車がないと仕事ができない地域です。接見は拘置所や下妻警察を除き、勾留場所まで車で30分ないし40分かかることは普通です。また水戸まで車で1時間30分ないし2時間、土浦へも40分ないし50分かかり、下館簡易裁判所、古河簡易裁判所も車なしではいけません。ただその代わり運転中、筑波山や田園風景が目に入り、豊かな気分になることが多いです。勤務時代とは異なり、自分1人で処理する仕事の量は増えたと思いますが、他方職住接近により仕事に自由に充てられる時間は増えました。 下妻に戻りまだ2年足らずであり、相談を受けた事件について考え生活しているという状況ですが、近くに弁護士が少なくて不便であるという話は何度も聞いています。また私も依頼人の相手方から、偶然に相談の電話が入ったり、事務所に連絡なしで相談のために訪問されてしまったこともあり、何回も相談に乗れないという経験をしています。こういう面でも弁護士数の不足を実感しています。 |