地裁支部の現状(平成11年度)
栃木県弁護士会  富岡 規雄

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 私が栃木県足利市に事務所を開設したのは、弁護士登録して3年目の平成10年4月です。それまでは、隣の群馬県桐生市の池末法律事務所(現わたらせ法律事務所)に勤務していましたが、元々自宅に近いところで開業する予定でしたので、足利市で開業する運びとなりました。

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 宇都宮地家裁足利支部の管内人口は26万人程度ですが、これに対して裁判所は地家裁判事が二人、簡裁判事が1人、弁護士は私も含めて6人です。地域の人口あるいは事件数に対して、法曹の人員が足りない感じもします。
 また、隣接する群馬県桐生市と太田市に前橋地家裁の支部があり、それぞれ弁護士が7人と9人それぞれ開業されています。そういう意味では、3つの支部が隣接市にあり、相当の交流があるという特異な地域となっています。
 東京地家裁あるいは高裁に行くにも、事務所から法廷までで、東武伊勢崎線の足利市駅から霞ヶ関まで乗り換えが1回、急行ならば2時間程度と、交通状況は比較的便利だと思われます。そのためか、東京からも多くの弁護士が事件を受任されているようです。それで、地元法曹人員が足りないのもカバーされているのかも知れません。

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 足利市に事務所を開設することについては、特に不安は感じていませんでした(独立そのものは大変不安であった、あるいは今でも不安であることは言うまでもありませんが)。というのも、隣接市の出身である上に、足利市と交流のある桐生市で勤務して足利支部管内の事件も受けたりしていたためです。
 業務内容は、他の事務所と特に変わらないと思われますが、債務整理事件の比重が高いかもしれません(もっとも、事務所経営における比重は低いですが)。大体、普通の民事が4割、家事が1割、刑事が1割、債務整理が4割といったところでしょうか。特に事務所を開設して1年目の平成10年は、暇だったせいか後先を考えずに債務整理を受けてしまい、大変な思いをしました(当初は半分が債務整理だったと思います)。
 ですが、宇都宮地裁管内は申立書類も整備されており、担当書記官も丁寧に教えてくれるということが分かり、平成11年からは債務整理の中でも単純な破産事件は相談だけで受任せず、自分で申し立ててもらうようにしましたので、債務整理事件の割合は減少しています。
 民事事件は、勤務弁護士時代からの知り合いの紹介が半分以上ですが、意外に飛び込みの依頼もあります。やはり、管内の人口に対して弁護士の数が足りないようです。事件の種類については、特に地域的な特性はないと思われますが、足利市は中小企業が多いところからか、比較的少額の事件が多いように思われます。
 刑事事件は国選がほとんどですが、その件数は平成11年で簡裁事件も含めて約40件です。事務所開設当初は、裁判所も(暇な弁護士が来たので)頼みやすかったせいか、国選の依頼が集中しましたが、あまり集中するのも具合が悪いと判断されたらしく、管内の各弁護士に平均的になるように調整をされたようです。
 当番弁護士は支部の場合、待機制ではなく、要請がある都度出動するという形です(休日当番の割り当てはありますが。)。平成11年は10回くらい出動したと思いますが、どれも平日であり休日の出動はなかったように記憶しています。これは、群馬弁護士会のときよりも多いとおもいますが、栃木県弁護士会では支部管内が対象になり、遠くまで行かなくても良いので出動し易いというのも理由の一つです(群馬は全県対象ですので、行くだけでも大変なときがありました。)。
 管財事件は、事務所開設当初1件受任しましたが、これは、私の経験不足(というより初めてですが)と、担当書記官の説明とは異なり売掛債権の回収が面倒であったなどの諸事情のため、なかなか処理が進んでいません。そのため、管財事件を受任することには躊躇があったのですが、他に引き受け手のない事件だというので最近新たに受任しました。私自身が破産の申立をする関係上、どうしても受任しない訳にはいかないと思っています。こういう事情は、地方の特殊性と言えるかもしれません。

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 現在までのところは、時間が足りないせいか、自分でも満足の行く弁護活動はほとんどなく、「何とか破綻していないな。」と言うのが正直な感想です。全ての事件を合算すると現在の事件数は100件くらいになっていますので、ある程度やむを得ないかとも思いますが、受任の仕方も含めて、仕事のやり方全て変えていく必要性を強く感じています。今後は、弁護士増員の流れは加速するように思われますし、社会の流れも速くなっていますので、従来のやり方では新しい時代に対応することは不可能だと思います。もっとも、日々の業務に追われ、「とりあえず破綻しないように。」との現状を打開するというのが当面の目標です。