近郊都市に散りませんか(平成15年度)
横浜弁護士会  滝本 太郎

 神奈川県の中央部,大和市というところで一人事務所をしている。日本で最古の縄文式土器の出たのは,私の実家に近いこの市内。「街並が素敵な旧さです」と自慢したいがそんなものはなく典型的な近郊都市。私鉄が3線入っている。米軍・自衛隊の厚木飛行場があるので爆音がうるさい,というのが特徴。

 ここには,法務局はあるが簡易裁判所も公証役場もない。管轄は横浜地裁本庁,だから週に3〜4日は横浜に行く。楽しみはそこで時間が空いたときの映画など。国選・当番弁護士はやるべきなので受けている。法律相談センターは,受任義務がつらく勘弁してもらっている。
 横浜地裁には45分程度,東京,相模原,小田原などは1時間程度。新幹線の新横浜駅は45分程度,羽田空港は待時間をいれて90分程度。市の人口は22万人弱,一般事件の依頼者層から見て周辺人口をいれると50万人くらいかと。

 ここで事務所を開いて実質活動しているのは私だけ。一方,この大和市に自宅のある弁護士は,東京の3会所属の10数人,横浜所属が1人。私を含めこの者らで「大和法曹会」として市役所の法律相談を受けている。
 なんとかならないかなあ,と常々思うのが,あと2〜3人は事務所を開いてくれないだろうか,ということです。居住の先生はそれなりに市内の事件をご自宅でしていようし,もとより他の地域の先生も多く扱っている。
 だが,依頼者は多く「近くの弁護士」を探す。裁判はどうせ横浜です,東京ですと説明しても,打合せくらいは近くでしたいのだろう。裁判をしないで終わる事案はさらに多いのだから。横浜弁護士会でもここ10年間,4支部とは別に,ボチボチとターミナル的な駅近くに事務所ができているがまだ少ない。法律相談センターもできてきたが「横浜弁護士会」からの派遣であることもあり,まだ敷居が高く宣伝も目立たない。依頼した後に,遠くの法律事務所に行くこととなるのは可哀想でもある。各地域に事務所ができるにこしたことはない。
 私は,オウム真理教事件にかかわったからだろう,今も全国各地から相談のある破壊的カルト問題にかかわらざるをえず,その他のボランティア的な仕事はまずできない。一人事務所に慣れてしまい事務所を大きくする意欲もない。これは恥ずかしいことだが,利益相反にならないためには事務所も別でないとならないはず。

 弁護士偏在問題は,何よりも地方でこそ大きな問題ですが,こんな偏在問題もあることを紹介しました。そろそろ近郊都市に散りませんか。