| 登録して30年(平成16年度) |
| 茨城県弁護士会 茂木 博男 |
T 私の事務所のある茨城県日立市は平成16年11月1日隣接する十王町を吸収合併して人口201,869人となった。家電メーカーの日立製作所の創業の土地だけに市内には電機関係の中小企業が多く,その従業員が沢山住んでいる。日立市に所在するのは水戸地方裁判所日立支部と日立簡易裁判所であり,それぞれ1名の裁判官が常駐している。検察庁も存在するが検察官は常駐していない。道交法違反や無銭飲食のような軽い刑事事件の公判のみ行われるので,その日に本庁(水戸市)から副検事が出張してくるだけである。傷害事件や殺人事件,覚せい剤などの事件が発生しないわけではないが,これらは本庁で公判が行われる。日立の弁護士は本庁の国選弁護事件としてこれらを担当することになるのである。 U しかし民事事件は日立支部にも多数係属している。平成15年の民事事件新規係属数は訴訟事件で約130件であり,これを受任する弁護士は日立市内に私を含めて3名。当然これだけでは処理出来ず,依頼人は水戸市の弁護士(66名)や隣の福島県いわき市の弁護士(13名)にも依頼することとなり,更には東京の弁護士も多数地裁日立支部に出張してきている。 V 地裁日立支部の管轄は茨城県の海寄りの日立市,高萩市(人口33,567人),北茨城市(人口52,019人)にわたっている。そこで日立市の3名の弁護士は日立市,高萩市,北茨城市の法律相談に順番で出向くことになる。弁護士の相談日には予約が殺到し,1件の相談には10〜15分の余裕しかない。相談内容はサラ金整理や破産申立に関するものが多くなっており,その中から現実に依頼を受ける案件も出てくる。 W 私の事務所の現在の手持件数はヤミ金整理等を含めて民事22件,刑事5件,破産又は民事再生申立事件16件,破産管財事件8件,民事再生委員事件5件というものである。 X 私は平成16年に弁護士30年目を迎えた。気の遠くなるような長い年月である。長崎で司法修習していた頃は登録1年目の弁護士が経験豊富に見えたし,登録した頃には3年目の弁護士が立派に見えた。登録10年目の弁護士など雲の上の人のような気がした。まして登録30年の弁護士など引退間近の老人にすら見えた。ところが自分が30年目になると,日々仕事に追われるだけで法律知識はおぼろげとなり,結局登録した頃に比べて何も進歩していないと感じてしまう。 Y それにしても近頃の若手の入会者の多いのには驚く。茨城県の弁護士は今年106人になった。日立市の弁護士も将来増えるであろう。大歓迎である。仕事はある。 Z ところで私は研修所を卒業してすぐ独立してしまった。しかしこのようなことはあまり勧めない。勤務弁護士の経験を経て,実務に慣れてから独立するのが望ましい。 |