| 栃木県佐野市で独立(平成16年度) |
| 栃木県弁護士会 山田 実 |
T 私は,栃木県宇都宮市にあります新江進法律事務所に4年半勤務した後,平成15年9月,栃木県の南部に位置する佐野市で独立しました。 佐野市には裁判所はなく,地方裁判所の管轄としては,足利支部に属します。そのためか,足利市内には6名の弁護士がおりますが,佐野市内には20年以上にわたって弁護士が不在という状況でした。ですから,現在,佐野市内で弁護士活動をしているのは私一人ということになります。 私の事務所がある佐野市は足利市の東隣に位置し,事務所から足利の裁判所までは車で30分近くかかりますが,隣の栃木支部の裁判所までも30分くらいで行くことができ,車での移動には大変便利な所だと思っています。 私は小学1年生の時に神奈川県平塚市から栃木県佐野市に引っ越して以来,ずっと佐野で育ったということもあり,独立するなら佐野でやりたいという希望を持っていました。 しかし,果たして弁護士不在の場所で独立したとして,どれだけの需要があるのか,事務所経営が成り立つのか,私自身かなり不安もありました。やはり,裁判所までのアクセスということを考えると,支部のある足利市か栃木市が良いのではないかとも思っていました。 事務所の場所については,随分と悩みましたが,佐野市が平成17年2月に一市二町で合併をすることになっていること,東北縦貫道路のインターがあり,交通の便が良いことに加え,自分自身佐野市出身ということで色々な面で繋がりがあることなど他にはない利点もあったことから,思い切って,佐野で事務所を開くことに決めました。 U 不安を抱えながらの開業でしたが,1ヶ月もすると,少しずつ仕事が増えてきました。 やはり,一番多い相談は債務整理であり,自己破産や個人再生の申立のほか,任意整理も結構やっています。 最近では,企業絡みの相談も増えてきましたが,圧倒的に個人の相談が多いです。 事務所で法律相談を受ける際には,対立当事者双方からの相談を受けないよう,宇都宮にいた時以上に気を遣っています。弁護士が少ない地域だけに,自分が相談を受けた相手方から相談の依頼を受けることも時々あります。ですから,相談を受ける場合には,必ず相談票を作成し,誰からどのような相談を受けたかを後日チェックできるようにしています。 前述したように,足利支部には私を含めて弁護士が7名しかいないため,国選事件や当番も定期的にまわってきます。 今年に入ってから現在まで,受任した国選事件は22件,当番の出動は25回ありました。当番は,圧倒的に佐野警察署に行くことが多いのですが,事務所から警察署までは1.5キロくらいしか離れていないので,天気の良い日には自転車で出かけています。 また,足利市で弁護士会主催の法律相談会が毎週土曜にあり,足利支部の弁護士で順番に割り当てられていますが,今年,私は8回担当しました。 私の事務所からは足利支部の裁判所と栃木支部の裁判所のほぼ中間地点にあるという地理的なところも関係してか,栃木支部に対しての申立事件も比較的多く入ってきます。また,栃木支部に申し立てられた破産事件の管財を2件受けております。 V 事務所の所在地は,私が幼少の頃から住んでいた地域内にあり,事務所の周りには友人,知人も多く,時々,友人が事務所に顔を出すこともあります。仕事の合間に友人とコーヒーを飲むことは私にとってはリフレッシュするための有意義な時間であり,出身地で開業したことの特典でもあります。 その反面,あまりに身近な事件は受けづらいという問題も出てきます。 また,今年に入り,事務所のある地域のソフトボールチームからの勧誘があり,地域の方々との親交を深める良い機会でもあるので加入することにしました。 ソフトボールの試合は,ナイターで行われるので,試合に参加することができる日には,事務所でユニフォームに着替え,そそくさと試合会場に向かってしまいます。 自分としては,ストレス解消とダイエットのために始めたのですが,なかなか日程が合わないため,1シーズンに数回しか参加することができず,いずれの目的も達せられていない状態です。 それでも,色々な職業を持ったチームメイトと交流を持つことは結構楽しく,また様々な刺激を受けることもあり,自分にとっては有益であったと思っています。 W 佐野市で独立して1年3ヶ月が過ぎようとしています。 初めのうちは,事務手続きもうまく回らず,雑用に追われることも多々あり,試行錯誤の連続でしたが,漸く仕事が回転してきたように思います。もちろん,これから改善していかなくてはならないことは山積しています。当然,試行錯誤はこれからも続きます。 大きな不安と少しばかりの期待が交錯する中での独立であり,今なお,不安や悩みは尽きませんが,いずれにしても,今振り返ってみると,仕事の面でも,また私生活の面でも,自分としては佐野市で独立してよかったと思っています。 今後は,佐野にも法律事務所が出来てよかったと言ってもらえるようになりたいと思っています。そう言ってもらうためには,まだまだ力不足であることを思い知らされながらも,日々仕事と格闘しております。 |