| 東京の一般民事事務所における女性弁護士として(平成17年度) |
| 第二東京弁護士会 菅谷 貴子 |
T はじめに 私は,第二東京弁護士会に所属する,平成13年登録(司法修習55期)の弁護士です。 東京都の弁護士会は,三会(東京弁護士会,第一東京弁護士会,第二東京弁護士会)に分かれており,どの弁護士会に所属するかは本人の自由となっていますが,私は,弁護士登録時から現在まで所属している事務所の弁護士が全員,第二東京弁護士会に所属をしていたこともあり,第二東京弁護士会に所属しています。 尚,三会の会員数の合計は,平成18年1月13日現在,約10,696名,内,女性は1,651名であり,女性の占める割合は,約17%です。全国における女性弁護士割合が,約13%であることからすると,東京は,比較的,女性弁護士が多い地域であるといえると思います。私自身も,日頃,仕事で女性弁護士と組むことや,相手方が女性弁護士であることも多く,女性が増加してきていることを実感しています。 U 事務所について 私の所属している事務所は,東京地方裁判所から2駅,比較的,弁護士事務所が密集している地域にあります。 事務所に登録している弁護士は8名(内,女性2名)ですので,事務所の規模としては,少し小規模に近い,中規模事務所との位置づけになると思います。 事務所の業務の内容は,専門化が進んでいるといわれている東京の中ではめずらしく多種多様であり,全体の6割から7割は企業法務ですが,その他にも,離婚,破産,刑事事件,講演活動,ロースクールの講師,マスコミからの取材応対,知財事件,不動産関係事件等も行っています。従って,弁護士となって4年目になる現在でも,事件を担当することになってから,関連分野の資料を慌てて読み込むということも少なくありません。 事務所に入った当時は,わからないことばかりで不安が先行していましたが,最近では,事件が多種多様であるということは,常に新鮮な気持ちで事件に取り組むことができるという点で,飽きっぽい私には向いているかも知れないと思うようになりました。 (もっとも,もっとじっくり一つの分野に取り組んで,職人のような仕事をしたいというジレンマを感じることも多々ありますが・・) V 事件について 前述したように,当事務所では,多種多様な仕事を扱っており,全体の6割から7割は企業法務ですが,その他にも,離婚,破産,刑事事件,講演活動,ロースクールの講師,マスコミからの取材応対,知財事件,不動産関係事件等も行っています。 東京では,最近,大手の渉外事務所や,ある専門分野に特化したブティック事務所が多くなってきているように思いますので,当事務所は,東京の事務所として典型的な事務所ではないかもしれません。 事務所での日々の業務ですが,事務所にいる間は,顧問先からのメールや電話による問い合わせ,訴訟準備,各種面談等を行っていますが,その合間に,離婚や破産,債権回収,刑事事件等の個人事件のご相談を受けています。従って,一日の中で,例えば,金銭トラブルであれば,数億円単位のトラブルと数十万円単位のトラブルの両方のご相談を受けるようなこともあり,面談に入るごとに,判断の尺度や気持ちの切り替えをすることを求められています。 そんなときは,修習生のときに,ある弁護士の先生から,「弁護士は,名役者にならなきゃだめだよ。よく話をきいてくれるやさしい人であることが必要なときもあるし,絶対譲らない頑なな人であることが必要なときもあるんだよ。」と言われたことを思い出します。修習生のときは,正直,その意味が良くわかりませんでしたが,多種多様な事件に遭遇して,この言葉の意味がわかったような気がしました。 このような事務所の事件の他,最近では,一昨年に退所なさった先輩弁護士からの引継ぎ事件を含め,少しずつ,個人事件をするようになりました。内容としては,当番や法律相談からの事件もありますが,個人情報関係の講演やベンチャー企業の企業法務などを中心に行っています。また,事件ではありませんが,母校を含め,2校の法科大学院で,お手伝いをしています。 このような個人事件について,入所当時は,他の弁護士がどのように事件を受けることになっているのか想像ができず,また,特に,東京では競争が激しく,今後は厳しいとの話もよく聞いておりましたので,自分が個人事件を受けられるようになるのか,自分の行く末に不安を持っていましたが,先輩弁護士からの引継ぎ,紹介者や縁にも恵まれ,少しずつですが,仕事が増えてきているように思います。従って,こんな若手である私でも,少しずつ個人事件が増えているということは,一般的に言われているよりは,まだ求められる領域も多くあるような気がしています。 その他,先輩弁護士に混ざって,判例研究会や弁護士会の知的財産研究会などにも参加させていただいています。 W 女性として 入所当時,事務所には女性弁護士は在籍しておらず,私が最初の女性弁護士でしたが,今は,女性弁護士も2名となっており,本年度には新たに1名,女性弁護士が増える予定です。 日々の業務の中で,女性を意識することは最近ではあまりなくなりましたが,入所当時は,面談に入れば修習生と間違われ,離婚事件で裁判所に行けば当事者と間違われ,警察に接見にいけば一般接見と間違えられ,といった感じでしたので,やはり,女性が一般民事事務所に所属して弁護士として働くことは難しいのかもしれないなどと感じることもありました。 しかし,今,振り返って考えてみると,面談等で修習生として間違われたのは,女性だったからではなく,弁護士には見えなかっただけだと思いますし,現在では,女性だからといって何らかのハンディを感じることは少なくなりました。 無論,まったくハンディを感じることがないかといわれれば,多少,感じることがないわけではありませんが,その代わりに,まだまだ少ない女性の弁護士であることで重用していただくこともあり,女性であることを楽しんだほうがよいなと思うようになりつつあります。 X 終わりに まだまだ新人である私にとって,今後,自分自身がどのような仕事をしていくのかは未知数ですし,また,司法改革の荒波の中で,弁護士業界はどうなっていくのかについては,想像できない部分が多々ありますが,日々の仕事を懸命にこなし,プライベートも充実させながら,公私共に,自分にあったスタイルを見つけていくことが今後の課題です。 どんな状況であっても,マイペースで,自分らしく,そして出来れば,女性らしくいられたらと思っています。 |