甲府に登録換をして(平成17年度)
山梨県弁護士会   後藤 光利
T はじめに
 私は司法修習期が56期で,弁護士登録をしてから2年半が経ちます。1年半弱東京の法律事務所に勤務した後,山梨県弁護士会へ登録換をいたしました。
 山梨県は実務修習地であり,現在所属している法律事務所は弁護修習を担当していただいた先生の事務所です。
 弁護士登録をして2年半,山梨県弁護士会へ登録換をして1年が経過したにすぎませんので,本紙に相応しい内容をお伝えできるかどうかはなはだ疑問ではありますが,駆け出しの弁護士からみた山梨県における弁護士生活の様子をお伝えできれば幸いです。

U 山梨県の状況
 山梨県の人口は約90万人であり,年間の地裁民事新受件数は600件前後といった規模です。
 同県は大きく中西部地方と東部富士五湖地方とに分かれ,裁判所(地方裁判所)は,中西部地方にある甲府市の本庁と東部富士五湖地方にある都留支部(乙号)から構成されております。
 山梨県弁護士会には現在66名の弁護士が所属しておりますが,都留支部管内には弁護士が1名いるだけで,ほぼ全員が甲府市に事務所を構えております。
 都留支部管内はいわゆる「ゼロワン地域」になりますが,甲府から都留支部までは自動車で1時間弱の距離ですので,甲府の弁護士も数多く都留支部の事件を受任しており,さほど過疎といった感覚はありません。

V 事務所の環境
 甲府地方裁判所(本庁)はJR甲府駅の近くに所在し,またその周辺には,検察庁,県庁,市役所等が立ち並んでおり,利便性が高いため,法律事務所も多く所在しています。私の所属する事務所も裁判所まで徒歩約5分の場所にあり,裁判所との往来は非常に楽です。
 また私の自宅も,事務所まで自転車で10分弱のところにありますので通勤による疲労はまったくありません。東京時代は片道1時間ほど満員電車に揺られながら通勤していましたので,通勤に関しては夢のような暮らしです。
 もっとも山梨県は,鉄道・バス等の公共交通機関が発達していませんので,接見や都留支部への移動の際には自動車が不可欠ですが,私自身自動車の運転ができませんので,移動には大変不自由しております。5〜6キロメートルの距離ですと自転車で移動しておりますが,夏は汗をかき,冬は寒い思いをしますので,なかなか大変です。

W 業務内容
 まず私が個人で受任している事件についてですが,大半を民事・家事事件が占め,国選を含めた刑事事件を常時1,2件抱えるといった具合で,地方にいるごく一般的な弁護士だと思います。受任している案件を数えてみたところ,一般の民事事件10件,家事事件2件,刑事事件2件,債務整理事件20件等といったところでしょうか。東京時代には個人で受任する事件というのはほとんどありませんでしたので,この点は山梨へ来てがらっと環境が変わりました。
 なお私が現在訴訟代理人となっている事件は被告側がほとんどです。というのも,原告となり得る事件はこれまでに10件弱ありましたが,相手方との直接交渉の結果,訴訟前の和解で終了してしまったからです。なぜ相手方は代理人を選任しないのか不思議に思いましたが,その原因はもちろん費用の問題もあるでしょうが,どうやら弁護士とは中立的な立場の人であって,両者を公平に扱ってくれるものだという意識をもっているようです(これが山梨の県民性なのかどうかはわかりませんが)。私を信頼してくださる人が多く(「先生にお任せします」とまで言ってくれた人もいます),話合いがスムーズに進み大変ありがたかったのですが,むしろ私の方が慎重になり,あくまで私は依頼者の立場の人間であること,言い分があるのであれば安易に譲歩してはいけないこと,結論をすぐ出さず熟考すること等を説明しました。また依頼者の請求内容が微妙だと思う事案では,相手方に代理人を立てるよう勧めたり,私が依頼者に譲歩するよう説得したこともありました。
 破産管財人,特別代理人といった裁判所から選任される案件も扱っています。5,6期上の先生方のお話では,裁判所から選任される案件は以前よりだいぶ少なくなったということですので,山梨でも近年の弁護士数増加が顕著にあらわれているのだと思います。
 その他,弁護士会館や公共団体等の法律相談会が月に1〜2回程度,当番弁護が2か月に1度の割合でありますし,単発的ですが大学等での講義・講演もあります。
 そして個人事件の他,事務所の事件もやらせてもらっています。こちらは訴訟事件が主ですが,10〜15件程度担当しております。

X 会務等
 まず委員会活動ですが,66名という少数の弁護士会ですので,所属する委員会の数は多いと思います。私自身,刑事弁護,消費者問題対策,図書・コンピューター,広報,司法改革推進センターの各委員会に所属しております。
 また関弁連シンポジウム委員にも選任され,平成18年のシンポジウムに向け,月1回東京で開催される委員会に出席しております。
 委員会活動以外でも,弁護士間の交流が盛んなように思います。月に一度の昼食会,忘年会,各種歓送迎会等があり,また各種研修会も催されています。
 プライベートにおいても,特に期の近い先生方とご一緒させていただく機会が少なからずあって,楽しく生活しております。

Y 裁判所・検察庁との関係
 定期的に行われる各種協議会,各種歓送迎会,年に一度行われるソフトボール大会等があり,また平成17年には裁判員模擬裁判が2度実施される等,交流の機会は少なくはないと思います。
 また実務修習地であったことから,裁判所及び検察庁の職員の方々とも面識がありますので,各種問合せにストレスがない等やりやすいところがあります。ただ逆に,修習中お世話になった裁判官,検事・副検事の方々と裁判で一緒になるときは,まだまだ気恥ずかしい気持ちが強くあります。

Z プライベート
 特に就業時間らしきものはありませんので,出勤時間や帰宅時間は全くの自由です。飲み会やバスケットボールの練習等があれば午後6時ころには早々と帰りますし,寝坊して出勤時間が大幅に遅くなることもあります……。
 最近の出来事としては,生まれて初めてフィットネスクラブの会員になりました。今年は例年にない寒さらしく,とても寒い思いをしていたのですが,最近自宅から歩いて2〜3分のところにフィットネスクラブができ,サウナ,大浴場,マッサージチェアの各設備があるというので,これにつられて会員になってしまいました。ほぼ毎日欠かさず,入浴・サウナ・マッサージのためだけのために通っています。妻からはお金がもったいないと叱られ始めましたので,これからはジム等も使用し肉体改造をしたいとの野心ももっています。
 休日は上京することも多いです。甲府から八王子までは特急電車で1時間,新宿までも1時間30分強の距離ですから,東京へのアクセスは良いと思います。

[ 最後に
 上述のとおり山梨県弁護士会は交流の機会が多く,諸先生方にも大変よくしていただいています。私自身,まだまだ山梨の県民性や弁護士生活の状況を把握しきれていませんが,一日も早く山梨県での生活に慣れ,山梨県弁護士会並びに地域社会に貢献することができればと考えております。
 また私を受け入れてくださったボスへの恩返しのためにも,早く一人前の弁護士になりたいと思っています。