関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

「関弁連がゆく」(「わたしと司法」改め)

従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが,このたび司法の枠にとらわれず,様々な分野で活躍される方の人となり,お考え等を伺うために,会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。

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女優 / 俳優
北川 景子さん / 山田 裕貴さん

とき
2022年11月某日
ところ
都内某所
インタビュアー
会報広報委員会委員 西岡毅

今回の「関弁連がゆく」は、女優の北川景子さんと俳優の山田裕貴さんです。
北川さんは、2003年のモデルデビューと同時に女優デビューをされて、その後、数え切れない程多くのドラマ、映画に出演されてきました。一方、山田さんも、2011年のドラマデビューを皮切りに、多くの作品で活躍されています。
そんなお二人の最新作は、2023年1月毎週月曜午後9時より、フジテレビ系列で放映開始予定のドラマ「女神(テミス)の教室〜リーガル青春白書〜」。 この作品は、ロースクールが舞台です。裁判官で実務家教員役である北川さんの「人を知らなければいい法律家になれない」という信念と、教授役である山田さんの「司法試験合格が最重要課題」という考えとのせめぎ合いを通して、どのように学生を指導していくのかがテーマとされています。
こういったせめぎ合いは、ロースクール出身の弁護士であれば、一度は直面する問題ではないでしょうか。
今回のインタビューでは、まず、北川さんと山田さんお二人同席の場で少しお話させていただき、その後、場所を移して、北川さんお一人に対して、幼少期から最新作のドラマまでについて伺うことができましたので、その2つのインタビューを掲載させていただきます。

【北川さんと山田さんの同席インタビュー】

関東弁護士会連合会という団体からまいりました。ロースクール出身の弁護士です。

山田さん え!そうなんですか!

はい、そうなんです(笑)。では早速ですが、ロースクールを卒業して司法試験に合格すると、裁判官、検察官、弁護士という法曹三者のいずれかになれるわけですが、お二人がもし司法試験に合格されたとしますと、どの道を選ばれると思いますか。

北川さん うーん・・・、どれにもなれないとは思いますけど、なりたいのは検察官でしょうか。検察官は大きな刑事事件に関わったりすると思うんですけど、巨悪なものに立ち向かってもひるまないで、強く向き合っている姿が格好良いと思います。ドラマの「HERO」(*フジテレビ系列にて2001年より放送された、検察庁を舞台としたドラマ。久利生(くりう)検事役に木村拓哉さん、初代の検察事務官役に松たか子さん。2014年版には、北川さんも検察事務次官役で出演。)の影響もあるんですけど、やっぱり久利生検事って格好良かったじゃないですか(笑)。今回の裁判官役を通じて、何かを判断するときには色んな方向から照らしていくことが大切だというのは、法曹三者どの立場でも変わらないと思ったんですけど、その中でも、関心がある、興味があるのは検察官ですね。

山田さん 僕は、不利な状況にある人を助ける弁護士です。裁判官のように、有罪、無罪とか決められないです。だって、その人しか知らない事実、真実があるんですよね。依頼者が自分に対して嘘を付いているかもしれないという疑いの目も持ちつつ、本当の意味でその人を救えるような弁護ができればな、と。こういう風に簡単に言ってますけど、もちろん難しいことだとは思います。ちなみに、司法試験は大変でしたか。

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私にとっては、本当に大変でした。せっかくですので、弁護士バッジをご覧になってください。

山田さん 本物だ!これ、もし無くすとどうなるんですか。

紛失について官報に載りますし、再発行には手数料もかかります。ちなみに、バッジには2種類あって、銀素材に金メッキされたものと、純金製のものがあると聞いています。

北川さん 純金製いいなぁ(笑)。

銀素材バッジは、使っているうちに金メッキが剥がれて素材の銀が見えるようになっていくんですが、メッキが剥がれて一人前になるという意味では銀素材バッジも良いと思いますよ(笑)。お時間ありがとうございました。

【北川さんの単独インタビュー】

幼少期はどのようなお子さんでしたか。

北川さん 小学校低学年の頃は外で遊ぶのが好きで元気一杯でしたが、高学年になると、外で遊ばないで部屋の中で本を読んだり、中学受験のための塾に行って勉強したりしていました。

当時の将来の夢は何でしたか。

北川さん 将来は、白衣を着るお仕事がしたいと思っていたんです。何科の医師になりたいのかまでは分かっていませんでしたが、お医者さんの仕事がしたいと思っていました。

その後、モデル、女優のきっかけとなるスカウトはどんな状況だったのでしょうか。

北川さん 高校生の時、神戸に住んでいて大阪に通学していたんですが、友達との学校の帰りに、自宅の最寄駅でスーツを着た男性が走って近寄ってきて、「モデルとか女優とか興味ない?」と声をかけてきました。最初は怖くて逃げたんですが、追いつかれて、「芸能事務所の者です」と名刺を渡されました。その時は、関西に芸能事務所があるなんて思わなくて、びっくりしてポカンとして終わりました。ただ、そのあと1週間くらいは何もしなかったんですが、段々スカウトされたことが気になるようになってきました。なかなかスカウトされることってないじゃないですか。やるしかないと思って、事務所に電話したいと親に相談しました。親は、すぐにデビューなんて出来るわけないと思っているから、「いいんじゃない」と軽い気持ちで賛成してくれて、自分から事務所に電話しました。事務所の方のお話では、まずは演技とか、ウォーキングとか、ポージングなんかのレッスンから始まるという説明だったので、習い事感覚でした。

その後、モデルデビューと女優デビューはほぼ同時期だったのでしょうか。

北川さん はい、そうですね、同じ日です。

急なデビューだったかと思うのですが、演技の勉強はされていたのでしょうか。

北川さん まだ演技の勉強は全然していなくて、それこそ事務所に入って宣材写真を撮ってすぐの1件目のオーディションが「美少女戦士セーラームーン」というドラマで、2件目のオーディションが「SEVENTEEN」という雑誌のモデルでしたが、両方とも合格して、すぐ東京に出て行くことになりました。

いきなりのドラマ出演は大変ですね。

北川さん 現場の皆さんに色々迷惑をかけていきながら、現場で学ぶという面もあったかと思います。

ドラマや映画のセリフを覚えるのは大変でしょうか。

北川さん 最近、少し記憶力が悪くなってきたという気もしますが、でも、セリフを覚えるのはあんまり大変とは思っていないですね。映像で覚えるというか、頭の中で台本の頁をめくるイメージです。覚えることよりも、どういう抑揚で言うかとか、すらすら言えるようにとか、喋り慣れるようになるまで、体にセリフが馴染むまでの方が大変です。

演技の際は役になりきると思いますが、気持ちの切り替えのご苦労はないですか。

北川さん 私は切り替えが早い方ですね。カットがかかればすぐに切り替えができて、今日は何を食べようかなと考えたりできます(笑)。ただ、余程暗い役だと、今思えば、あの時期自分も暗かったなと思うことはありますが、そんなに家まで持ち帰ったりとか、引きずったりとかはないですね。

女優のお仕事は大変かと思いますが、気分転換はどうされていますか。

北川さん 今は、働いていることが気分転換になっているというか。今年前半は9ヶ月あまり働かず育児をしていたんです。子どもはもちろん可愛いんですけど、ずっと一緒にいると自分の時間があまりないので、今は、働いている時間が自分の時間になっているから、働けることがありがたいというか、嬉しいという感じですね。

健康、美容について、気を付けていることがあれば教えてください。

北川さん 健康については、ちゃんと食べることでしょうか。食事制限し過ぎるとやつれて見えたり、見た目が疲れて見えたりしますよね。食べるものは栄養のバランスを考えて、でも、あまり神経質にならずに、好きなものを楽しく食べるようにしています。美容については、メイクはお仕事が終わったらすぐ落とすとか、髪の毛は濡れたまま放置しないですぐ乾かすとか。自分のケアは、シンプルなことを徹底して行うというスタイルですね。

今回の最新作についてお聞きします。裁判官の役で、しかもロースクールに派遣される外部教員という、あまり馴染みのない職業の役かと思いますが、そういうときの役作りはどのようにされますか。

北川さん 毎回、本職の方が見たら怒るだろうなと思いながらも、そこはドラマだと思って見てもらおうと思いながらやっているところはあります。でも、裁判官といっても色んな方がいるでしょうし、演じる役の職業というよりも、その人のキャラクターが大事なのかなと思っています。どんな雰囲気の人なのか、どんな声のトーンで、どんなスピードで話す人なのか、どういう笑い方をする人なのか、そういうキャラクターを掴めたら、役作りは結構早いです。その後で、職業についてのイメージを固めるために、裁判官に密着したドキュメンタリーを見たりとか、そんな感じですかね。

これまで裁判官に会ったことはありましたか。

北川さん 個人的に裁判官に会ったことはないですね。ずっと昔、学生のときに法廷の傍聴に行ったことがありますが、どの方が裁判官か分かってなくて見てたという感じでした(笑)。

今回の役でもある裁判官のイメージというといかがでしょうか。

北川さん 裁判官のイメージは、やっぱり頭脳明晰。人を裁くには、どの辺りがポイントなのか、しっかりと判断できないといけないですよね。それから、人格者。両方の立場を考えられないといけないですから、人として精神的にすごく成熟、老成しているというイメージです。でも、普段話すと意外とコニュニケーションがうまくてフレンドリーというところもあるのではないでしょうか。人間としてオールマイティにバランスが取れていて、人の心や状況が読める、そんなイメージです。人から慕われていないと務まらないのではないでしょうか。

今回は、裁判官ながらロースクールに派遣されるというお立場ですが、その点はどういうお気持ちで演じられているのでしょうか。

北川さん 役で言うと、裁判官としての経験を学生たちに伝えるのが使命と思っています。自分が教えられるのが実務の部分だから、そこをしっかり伝えていきたいという。これは想像の世界ですが、法律、判例を叩き込まれただけでは立ちいかなくなるというか、実際に現場に出てみたら、授業で習ったことでは対応しきれないことがあると思うんです。人の中って全部を開けてみることはできないから、推し量らないといけないということを伝えられたらいいなと思っています。もちろん大体の平均的な結論になる判決はあるのだろうけど、それだけじゃ対応できない、色んな人の複雑な事情が絡み合った案件があると思うので、その時は、自分がしっかり考えて色んな角度から推し量れる人間としての力がないといけないかな、と。考える力だったり、推測する力だったり、単に判例にあてはめて決めつけてしまわない大切さみたいなものを教えてほしいということで派遣されたのかな、という気持ちで演じています。

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最後に、弁護士のイメージはいかがでしょうか。

北川さん 弁護士は、依頼人を最後まで守り抜くのが仕事ですよね。そのへんの精神的な拮抗というか、自分の中で上手に折り合いを付けていきながら、こういう方法で守り抜くという信念の強さがある方々だと思います。ある人から見れば正義でないようなケースは、依頼者を守る気持ちが強くないと弁護できないでしょうし。あとは、切り替えができないといけないだろうなと思います。事件が変われば、全く逆の立場になることもあるでしょうから、そういう意味で、ものすごく精神的にタフなイメージがあります。

そのようなイメージを持っていただいて、光栄です。本日はありがとうございました。

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