| 第2節 地方自治体における支援活動 | |
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これまで、各地方自治体がいかなる犯罪者支援活動を行っているかまったく不明であったため、関東弁護士会連合会シンポジウム実行委員会では、2000年5月、管内の全市区町村(877自治体)に対し、質問票を送付し、501自治体から回答を得た。
1.結果の概要 犯罪被害者支援政策については実施していないとの回答が圧倒的に多かった。実施していない自治体について今後の予定について質問したが、予定ありは4自治体、検討中が5自治体で、予定していないが圧倒的に多かった。 実施しているとの回答は一応23件あった(選択肢を設けなかったため、「実施していますか」という質問に「実施している」「実施していない」の回答がなく記 述があるものが多く適宜判断したもので、読み方により数は前後すると思われる)が、その内容は自治体自身の政策でないものも少なからずあり、内容的に疑問の残るものも見られる。 実施しているとの回答または実施の有無には言及せずに記述された回答では、警察が中心となって設立した犯罪被害者支援連絡協議会(名称は犯罪被害者支援推進協議会、犯罪被害者支援ネットワークなどもある)に参加しているというものが最も多かった。その他の回答としては、犯罪被害者に限定した政策は行っていないが、各種の既存の制度で対応している、市民相談(法律相談、心配ごと相談)で対応しているというものが多かった。 2.給付金などの支給事業 独自の犯罪被害者支援政策としては、埼玉県蕨市、長野県松本市、埼玉県嵐山町が見舞金などの支給事業を行っている。なお、埼玉県三郷市からは交通事故被害者についてのみであるが、見舞金支給事業を行っているとの回答が寄せられている。 松本市は松本サリン事件(1994年6月27日)を契機に、1996年6月27日に「松本市サリン事件など被害者健康管理基金規定」(条例)を定め寄付金と一般会計からの繰入金をもって基金を積み立て、@被害者の健康管理に関する事業、A松本サリン事件などによって死亡した住民の遺族に対する弔慰金の支給及び被害者のうち精神または身体に特に著しい傷害を受けたものに対する障害見舞金の支給に関する事業、Bその他市長が特に必要と認めるものに支出できることとしている。 これまでの実績は、弔慰金が7件140万円、見舞金が140万円、健康調査委託費用の支出が5年間で272万円である。 嵐山町は1999年9月8日に「嵐山町犯罪被害者など支援条例」を制定し、犯罪により死亡したものの遺族、犯罪による負傷者(全治2週間以上)に支援金を支給することとし(但し、被害者と加害者に親族関係があるとき、被害者が犯罪行為を誘発したときその他当該犯罪被害につき被害者にもその責めに帰すべき行為があったときは支給しないことができる)、支援金額は遺族が30万円、全治3ヶ月以上の傷害が20万円、全治2ヶ月以上3ヶ月未満の傷害が15万円、全治1ヶ月以上2ヶ月未満の傷害が10万円、全治2週間以上1ヶ月未満の傷害が3万円とされている。この条例は2000年4月1日施行だが1997年8月1日に遡って適用される。これまでに2件の支給実績がある。 蕨市は1972年制定の「蕨市災害見舞金及び弔慰金の贈呈に関する条例」で「第三者によって加えられた人為的行為により死亡し、または重傷を負った者」に弔慰金などを支給している。ここで重傷を負った者とは1ヶ月以上の入院加療を要する負傷とされている。弔慰金などの金額は死亡者につき10万円、重傷者につき5万円とされている。過去5年間については支給実績はないとのことである。 これらの見舞金など支給事業は犯罪被害者給付金を補完するものであるが、松本市のものは犯罪被害者給付金と支給要件がほぼ同じであるのに対し、蕨市、嵐山町のものは負傷者について支給の要件を相当程度緩和している。但し、いずれも支給 金額は犯罪被害者給付金と比較してもかなり低い。 これとは別に新潟県三条市では特定事件(少女監禁事件)について被害者支援のために「三条市愛の支援募金」を開設した。 3.犯罪被害者支援連絡協議会への加入 犯罪被害者支援連絡協議会については70の自治体から回答の記述があった。これについては自治体の犯罪被害者支援政策の一環として位置づけて回答してきた自治体と自治体の政策としては何も実施していないとした上で参考のために言及している自治体があり、後者の考えで参加していても回答に記述しなかった自治体もあると思われる(少なくとも埼玉県嵐山町、栃木県佐野市、栃木県葛生町は他の自治体の回答から参加が明らかであるが、これに言及していない)。他方、市町村を超えた地域単位で設立されているために連絡協議会の数自体は回答数より少ない。 この連絡協議会は、会則などを添付してきた自治体ではほぼ同内容で、活動内容は概ね@被害者などの支援を行うための情報交換、A被害者などの支援に関する調査、研究、B被害者などの支援のための共助、協力、C被害者などの支援に関する広報啓発活動、D被害者支援の目的を達成するために必要な活動とされている。事務局は概ね警察署内に置かれている。そして多くは本年になってから設立され、それ以前に設立されたものも昨年後半に設立されたものが多い。 4.法律相談・心配ごと相談など 法律相談などの事業については、一般の法律相談との区別の有無が回答からは不明なものもあるが、一般の相談の中で対応しているとする自治体が多く、独立の相談であることが明記されているものはほとんどなかった。 大宮市の回答では交通事故相談について2000年4月から規則を改正して「交通事故相談」を「交通事故など相談」に変更して犯罪被害者についても対応しているとされている。2000年4月中に1件犯罪被害者相談の実績があったとのことである。 5.問題点 アンケートの結果を見る限りでは、自治体として積極的に犯罪被害者の支援のための活動を行っているところはほとんどないといってよく、あっても不十分であり、なお一層の努力が要請される。自治体が独自で行う活動についてなにをやったらいいのかよくわからないというのであれば、犯罪被害者の支援のために活動している民間団体への財政的な援助をすべきである。後に見るように、どこの団体も財政基 盤が脆弱で、資金繰りに悩んでいる。 なお、犯罪被害者支援連絡協議会については、参加しつつ「犯罪被害者支援のための政策は実施していない」と回答した自治体が相当数あり、大半の自治体が予算をつけておらず、具体的な活動はしていないと言及する自治体もあり、実績の記載が見られないことから、現時点で実効を上げているかについては疑問がある。 | |