第2節 アンケートの実施と調査
1.第1次アンケートの内容と調査結果

(1)2000年3月に、全国52の単位弁護士会に対し、犯罪被害者問題に関する委員会の設置の有無等についての最初のアンケートを実施した(第1次アンケート)。
 2000年6月の時点で51単位会からの回答を得た。

(2)第1次アンケートの回答時点で、会内において、犯罪被害者問題を取り上げる独自の委員会を持っている単位会は22会、持っていない単位会数29会であった。ただし、今後委員会を設置する予定であると答えた単位会が1会あった。

 独自の委員会を持っている単位会の委員会設置時期については、名古屋弁護士会の1997年4月、大阪弁護士会の同年11月を筆頭として、11会が1999年中に、9会が2000年中にそれぞれ委員会を設置しており、ここ1、2年で犯罪被害者問題を扱う委員会が各地で次々と設置されてきていることがわかった。

(3)これに対し会として独自の委員会を持っていない単位会は、比較的小規模の会が多く、その理由としては、「小規模会で手が回らない」、「問題意識が高揚していない」、「従来の委員会ないし法律相談の窓口で対応できている」と言うようなことが述べられている。

(4)弁護士会以外の関係機関との連携を持っていると答えた単位会は、29会あり、必ずしも会内に独自の委員会が設置されていなくても他機関との連携を行っていることがうかがえる。
 連携していると答えた機関としては、都道府県の被害者支援協議会がほとんどのようであるが、それ以外の民間の専門機関との連携を行っている会もあった。

(5)また、会として、会員向けに犯罪被害者問題についての研修会を実施したことがある単位会数は18会であった。主に外部から講師を呼んで勉強会的な研修を実施しているところが多いが、シンポジウムを開催したと答えた単位会が6会あった。

2.第2次アンケートの内容と調査結果

(1)第1次アンケートの回答の中で、2000年に入って専門の窓口を設置したいという単位会が相当数見られた。他方で、弁護士会独自の相談窓口はなくとも他機関と連携して実質的にめざましい相談活動を行っている単位会があり、また専門の相談窓口設置を検討している単位会もあった。

 そこで、2000年6月、全国52の単位会に対し、犯罪被害者に対する相談活動に焦点をあてて犯罪被害者に対する相談窓口のある単位会、他機関と連携して実質的に相談活動を行っている単位会、相談窓口設置を検討している単位会、相談窓口設置の予定のない単位会に、それぞれの実情や今後の課題を聞く第2次アンケートを実施した。2000年7月28日現在、33会から回答があった。

(2)犯罪被害者の独自の相談窓口がある単位会は11会であった。
 @相談窓口が設置された時期は、徳島弁護士会(99年5月)、大阪弁護士会(99年6月)が最も古く、他は昨年末から今年にかけて設置している。いずれも、歴史が浅く、さまざまな工夫をしながら成長している過程にある。

 A相談の対象をみると、「犯罪被害者」について一定の定義づけをしている会が3会、特にしていない会が5会であるが、定義づけをしている会でも広く定義している会が多い。

 B相談の方法をみると、(ア)面接相談のみが3会、(イ)電話でまず相談を受 けてから必要があれば面接相談に移行するというところが5会、(ウ)電話相談のみが1会である。電話相談については、相談者のアプローチが容易であるというメリットがある反面、電話相談の特殊性から弁護士による電話相談に反対する意見も強く、現時点ではどちらがよいと決められるものではない。
また、各単位会の相談体制や他団体との連携の方法などにもよる。

 C相談時間には、制限を設けない会が多いし、目安時間を設けている会でも1時間程度と通常より長めに設定している。相談者の話をじっくり聞こうという姿勢が読みとれる。

 D相談料については、電話相談は無料で面接相談も1回目は無料という会が多い。相談者が経済的に困窮していることが多いであろうことを考えての措置である。

 E他方で、相談担当弁護士に対しては、日当を支払っていない会も多い。

 F相談の内容については、女性の性被害やストーカー被害が多い。警察への対応の不満や損害賠償についての相談も多い。また、被害念慮の相談も見られる。

 G相談担当弁護士に対する研修については、実施している会が5会である。また、今後の課題として研修を挙げている会も多い。研修を相談担当弁護士登録の必須条件として位置づけている会も2会ある。必要な研修については、被害者の心理についての研修を挙げている会が圧倒的に多い。弁護士による二次被害を防ぐという観点に立つものと思われる。

 Hマニュアルを作成している会は4会、作成していない会は4会であるが、作成していない会でも他会のマニュアルを参考にしたりしている会が多い。

 Iネットワークについては、警察関連の支援連絡協議会などに参加している会が8会、民間機関とのネットワークに参加している会が4会である。

 J今後の課題として共通しているのは、1)人員確保、2)相談担当弁護士の経済的保証、3)研修の実施、4)他機関との連携である。いずれも切実な問題であるが、3)、4)は、弁護士会の他の人権擁護活動と比べて、とりわけ、犯罪被害者支援活動に必要とされているものである。

(3)相談窓口がない会は20会であった。
 @このうち、現在は相談窓口はないものの、いずれ相談窓口を設置したいと考えている会は12会であった。すでに他機関と連携している会も6会あり、佐賀県弁護士会では民間支援団体との連携もなされている。窓口設置を予定している会が設置にあたって検討している事項としては、相談方法(電話相談か、面接相談か)、相談料、非定型的な弁護活動についてどのように弁護士費用を設定するのか、が挙げられた。

 A他方、相談窓口を設置する予定のない単位会は8会であったが、設置しない理由については、「人員確保の困難」を挙げている会が圧倒的多数であった。近年、弁護士会の人権擁護活動が多岐に亘っている中で、中小規模の弁護士会にとっては人員確保の問題は切実な問題である。

(4)弁護士会独自の相談窓口はないけれども、事実上、主要な弁護士が他団体と連携して相談活動を行っている会は1会であった(茨城県弁護士会)。茨城県弁護士会からはこの様な形での活動のメリットとして、「単位会の会員が少なく、独自の窓口を作っても処理しきれない可能性があり、支援活動を行っている人を支援していく方が効率がよい」という点が挙げられた。