| 第3節 訪問調査の実施 | |
| D今後の課題 ア.LAの相談について、紹介だけでなく、被害者からの直接申込を受け付けること、そのための体制づくりをすること イ.弁護士会としての窓口あるいは委員会の設置 (8)福岡県弁護士会訪問記 @訪問日時 2000年6月18日午前10時から午後1時40分まで、福岡県弁護士会犯罪被害者支援に関する委員会委員長である萬年浩雄弁護士の事務所を訪問し、同弁護士及び福岡犯罪被害者支援センターの会長である内川昭司弁護士から活動状況を伺った。 A設立の経緯 福岡県弁護士会では、1999年4月に「犯罪被害者対策プロジェクトチーム」を発足させ、犯罪被害者のために弁護士は何ができるのかの検討を開始した。1999年11月、2000年1月に会員の研修のための講演会を実施するとともに、2000年1月には「犯罪被害者電話110番」を実施、2000年3月に「犯罪被害者支援センター」及びその運営を担当する「犯罪被害者支援に関する委員会」を発足させた。 B活動内容 ア.相談事業 「犯罪被害者支援センター」では、犯罪被害者のための電話及び面接相談を主に行うこととし(現在は専ら電話相談を行っている)、会員の中から相談担当希望者を募り名簿を作成して割り当てている。相談担当者は2000年3月現在で52名が登録されており、その後も増加しているが、担当者は事前講習を受講した者に限ることとしている。 相談は、主担当者と副担当者が担当し、主担当者は毎週火曜日午後4時から午後7時までの間天神法律相談センターに待機し、そこに設置した専用電話で電話相談を行い、副担当者は携帯電話を一週間所持し、主担当者が上記専用電話での話し中にかかってきた電話を転送して相談を受けることとしている。なお、主担当者は福岡県弁護士会の県内全域の会員に担当してもらうこととするが、副担当者は福岡市内の会員にお願いしている。 相談担当者のために、事務手続マニュアルが作成されているほか、相談自体についてのマニュアルは現在作成中である。 なお、相談料は、電話相談は常に無料とし、面接相談は初回は無料とし、2回目以降は30分当たり5000円(消費税別)を支払ってもらうこととし、主担当者は天神法律相談センターの規則により日当を支給され、副担当者は電話応対した場合には日当が支給されるが、応対しない場合には支給されない。 イ.「福岡犯罪被害者支援センター」との連携 会独自の支援活動よりも、後述する「福岡犯罪被害者支援センター」の活動をバックアップすることのほうに主眼がある。会の相談において、弁護士では対処できないと思われるものは、同センターに紹介して対応してもらっている。 ウ.その他 市民向けのリーフレットを1万2000部作成し、平日に街頭で配布して広報に努めている。また、専門家の講演の形での会員向けの研修会を定期的に実施して、会員の意識醸成に努める。 C他機関との連携 ア.「福岡犯罪被害者支援センター」との連携 1999年7月ころ以降、福岡県弁護士会の内川昭司弁護士が中心となって、民間組織である「福岡犯罪被害者支援センター」設立の準備を開始し、2000年4月に発足した。同センターは、弁護士、精神科医、臨床心理士、心理カウンセラー、大学院研究生、社会福祉士、看護婦、保健婦などにより組織された純然たるボランティアの民間団体で、犯罪被害者支援活動を実践的に行うことを目的としている。弁護士会では、同センターの運営委員17名中3名の会員を派遣して連絡を密にしているほか、同センターの活動を積極的にバックアップしている。 同センターの活動としては、一般から公募した30名の相談員による電話相談を毎週土曜日に実施し、今後は弁護士会の犯罪被害者相談と同じく毎週火曜日に実施する予定である。なお、相談員には研修プログラムを実施している。 ここで行う相談事業は、カウンセリングを主眼とし、その相談の中で法律的問題がある場合には、弁護士会が対応することとしている(センターの相談員への法的知識のサポート、電話相談の中で法律問題が出たときだけ電話を代わるなど)。 イ.その他の機関との連携 県警の行っている犯罪被害者相談電話「ミズ・リリーフ・ライン」とも連携しているほか、県警の犯罪被害者対策官室との意見交流、犯罪被害者支援協議会に参加している。 D今後の課題 ア.犯罪被害者支援については早くから精神科医などが対策を準備していた状況にあった。そこで、医療関係者と弁護士などの専門職がネットワークを結び、総合的な被害者支援対策を講ずることが必要であり、弁護士の役割は犯罪被害者が抱えている諸問題の一部を行えるに過ぎない(被害者もまた弁護士に事件を依頼したくて相談する訳ではない)という認識を持ち、専門的なカウンセリング能力は持っていないことを自覚する必要がある。 そのため、弁護士会は同センターの後援団体の一つという位置づけで、同センターのネットワーク構築をバックアップするため他士業種、諸機関への呼びかけなどを準備している。 イ.弁護士会の犯罪被害者相談は、現在のところ順調に進んでいる。センター発足以前に行った110番のときには、被害妄想と思われる人からの相談が多かったが、発足後は当方が想定していたような犯罪被害者問題の相談が来るようになった。 今後は、マスコミなどへの広報活動も行っていきたい。また、九州弁護士会連合会管内の中核単位会として、管内各会の活動をサポートしていくことも考えている。 ウ.予算の点については、弁護士会側では特に懸念される問題があるという話はなかったが、「福岡犯罪被害者支援センター」側はボランティア団体であっても活動資金が不足しているので、法律扶助協会への刑事贖罪寄附の受け入れを同センターに移行させてはどうかという案が出ており、これにつき弁護士会、扶助協会、裁判所などとの協議を行う必要があるとのことであった。 E犯罪被害者支援活動への取組の姿勢について ア.犯罪被害者支援問題においては、県警主導の被害者支援協議会は比較的早く組織ができているが、実践的な活動としては不十分であると考えていた。そのため、実践的に被害者支援活動を行うためには、基本的に民間主導で行うべきと考えている。 弁護士は、被疑者・被告人の弁護活動も行うので、被害者支援活動と弁護活動とのジレンマは確かにあるが、そのような観念論を戦わせるよりも、弁護士として被害者支援問題において何ができるのかを考えるべきであり、まず活動に着手するという精神でこの問題に取り組んでいる。 その意味では、弁護士会のセンター以外に、福岡犯罪被害者支援センターが存在しているということは非常に好都合なことと考えている。 イ.犯罪被害者問題が弁護士の業務として成り立ちうるか否かについては、特に議論を詰めてはいないが、業務性よりも、弁護士は、犯罪被害者に対する二次被害を与える危険性を常に有していることを自覚すべきであり、その二次被害を防止するためにも、この問題に対して弁護士会として取り組む必要性がある。なお、福岡犯罪被害者支援センターに参加している医療関係者も、ボランティアで行っており、この分野につき弁護士だけが業務性を求めるのはいかがなものか。弁護士会としては、後になって息切れしないよう、身の丈にあった活動を心がけるべきであり、それには、弁護士はプロデュース役に徹することと思う。 ウ.未着手の単位会においては、弁護士会以外の民間団体を立ち上げる方向を考えるべきで、それを立ち上げた後に会がこれをバックアップしていくことが望ましいと考える。 (9)大分県弁護士会訪問記 @訪問の概要 2000年6月17日、大分県弁護士会の徳田靖之法律事務所を訪れ、同会の犯罪被害者支援センター(以下「センター」と略す)の委員長徳田靖之弁護士、千野博之弁護士から設立経緯、活動状況などをうかがった。 A設立の経緯 ア.1999年10月、九州弁護士会連合会の定期大会のシンポジウムで被害者問題が取り上げられ、大分県が「犯罪被害者の権利と救済」という報告書を担当執筆した。 イ.前記シンポジウムと報告書執筆の準備として、水戸などの被害者援助センターの訪問調査をした。その準備の中で、被害者と被告人の双方に対して具体的に関わる弁護士(会)だからこそすべきことがある、被害者と被告人の権利を対立するものとしてではなく双方の権利を尊重しつつできることがある、という視点が認識された。 また、犯罪被害者が切実に求めていることは、駆け込み寺として連絡することができ対応可能な窓口の設置である、警察とは異なる駆け込み寺としての窓口を設置することが弁護士会に求められていることであるということも明らかになった。 ウ.そこで大分県では、全国に先駆けて被疑者に対し実施した当番弁護士制度の運用の経験とノウハウを生かし、被害者に対して、会独自の駆け込み寺としての24時間受付相談窓口を設置する被害者支援制度を立ち上げようという機運が高まった。特に会員数66名の小規模会である大分県でこうしたセンターを作ることの意義は大きいと考えた。 エ.また支援センターを警察と独立した組織として組織している会も少ないということに調査過程で気づいていった。この意味からも弁護士会が被害者支援センターを作る意味は大きいと考えた。 オ.以上の準備と視点のもとに、2000年4月1日から、センター(犯罪被害者支援センター)が発足した。 B活動内容 ア.24時間受付、24時間内面接の相談窓口の実施 被疑者に対する当番弁護士を小規模会で担ってきた経験とノウハウを生かして設置した。66名の会員中40名が名簿に登録している。相談のシステムとしては会内に独自の専用電話を購入し、平日は弁護士会の事務局が対応して名簿登録会員へ連絡をし、休日と平日の執務時間外の時間帯は留守番電話が対応し、その日に割り当てられた当番弁護士が被害者からの留守番電話に対応するという形で、被害者からの電話を受けて24時間以内に弁護士が相談を直接受ける体制を整えた。 4月以降の実施実績では、電話相談は統計をとっていないが、面接までに至ったのは2件である。被害者のプライバシーの面から詳細は申し上げられないが、うち1件はストーカーの被害者からの相談で、女性弁護士に紹介し迅速な解決ができたという報告を受けている。 イ.センター発足記念講演会の実施 2000年5月20日、常磐大学の富田教授を講師に招いて発足記念講演会を実施した。 ウ.マニュアル作成 会員を対象にした「犯罪被害者支援センター相談マニュアル」を作成準備中である。 C関係機関との連携 ア.臨床心理士会との連携 大分県臨床心理士会との連携を深めるため、同会との交流を図っている。 これまで「犯罪被害者への対応」「PTSDの説明」という内容で、2回研修会を実施した。最近の意見交換において、犯罪に遭った直後に被害者の立会をもって実施される実況見分で、被害者に対して再度PTSDが産み出されるのではないかということが指摘された。弁護士が気づかない視点であり、専門家集団との連携は必要であると感じた。 イ.警察との連携 県警内部の被害者相談体制の中で、センターの担当窓口を具体的に決めてもらった。今後被害者からの相談の中で「告訴を受理してくれない」などの相談などがあった場合に具体的連携について検討していくことになろう。 D今後の課題> ア.専門機関との連携を深め、他の犯罪被害者支援組織との交流を強化して、犯罪被害者支援のためのネットワークを構築すること イ.弁護士(会)の責務として、被害者と被告人・被疑者の双方の権利が尊重されるように、弁護士(会)としての主体的な活動を広めること ウ.被害者の望む癒しは量刑を重くすることであるとのマスコミの声には危惧感をもつ。被害者自身が述べるのはその受けた苦しみの故と理解できるが、被害者以外の者が無責任に語るのは問題である。 弁護士は被害者の癒しようのない痛みに気づくと同時に、冤罪を防ぐ刑事弁護士としての役割も現場で担ってきた。現場で相克に苦しむ弁護士だからこそ言えることもあるのではないか。そうした見地からどのようにして被害者の精神的な苦しみを少しでも癒していけるのかを考えていくこと エ.財政的基礎の確立 大分県弁護士会では被害者問題については無料無報酬という意気込みで24時間窓口制度を作り上げたし、財政的人的な裏付けが整わなくてもまずできるところから始めてみようというのが当会の姿勢である、しかし、財政的基盤の確立は必要である。 2.訪問調査記のまとめ──相談活動をしている弁護士・弁護士会の現状── (1)検討の視点 上記1の訪問記のとおり、私たちは9単位会を直接訪問してその活動状況などの聴き取りを行った。各単位会を訪問して感じたことは、被害者問題に対する取り組み方が、その会ごとにかなり異なるということである。これは、各会の規模やその置かれている状況(外部の支援組織の有無など)にもよるのであろうが、被害者問題につき弁護士(会)としてどのように取り組むべきかという考え方の違いが反映しているものと理解することもできる。 以下、簡単ではあるが、各単位会の比較を通じて、被害者問題に対する弁護士(会)の取り組みの現状を検討してみる。その際の視点として、@相談体制、A相談の範囲、B研修の有無、C弁護士の支援活動の業務性、D会の支援活動の経済的基盤を設定し、各視点ごとに比較検討していくこととする。 (2)相談体制について @大きく分ければ、(a)弁護士会が独自の窓口を作って主導的に活動している会と、(b)外部で活動している既存の支援組織に参加する形で活動している会という分類が可能であろう。 ア.前者に属する会としては、東京三会、大阪弁護士会、大分県弁護士会、福岡県弁護士会がこれに該当する。 弁護士会で独自の窓口を作り支援活動を行うことは、会にとって人的・経済的面で大きな負担となるが、東京三会のような大規模会のみならず、小規模会である大分県弁護士会が積極的に活動している点は注目すべきである。 なお、福岡県弁護士会は、会として独自の窓口を作りつつも、さらに会の主導で外部に設立した民間支援組織と連携(バックアップ)し、後者の活動に重点を置くという独特の体制を取っている。外部の支援組織との連携を考える時、参考になる点があるだろう(弁護士会がネットワークの中のセンター的役割を担おうという場合など)。 なお、岡山弁護士会は独自の窓口を設置してはいないが、後述のとおり弁護士会と密接な関係を有する財団法人リーガルエイド岡山(法律扶助協会に類する独自団体)が被害者支援活動も行っており、事実上弁護士会の活動としての意味合いは強いと思われる。 イ.その他の会は、一応後者に属するものと考えてよいが、これらの中でもさらに幾つかのタイプに分けられる。 (a)会自体ではなく個々の弁護士が、既存の外部支援組織に参加して活動しているものとして、茨城県弁護士会の場合がこれに該当する。このように弁護士が個人的に外部支援組織に参加している例は、全国的に多いと思われる。 茨城県弁護士会の場合は、1995年に民間支援組織(水戸被害者援助センター)が活発な活動をしており、会として独自に活動をする必要が無かったようであるが、他に会としての活動が過重な負担となるとの思いもあるようであり、この点は多くの小規模会における共通の悩みと思われる。 なお、外部支援組織ではないが、岡山弁護士会の場合は、会内合意を図れない問題につき登録弁護士が個人的に財団法人リーガルエイド岡山に参加するという独特の方式をとっている。被害者支援問題についてもこの方式によっており、弁護士会との関係はかなり密接のようである。この意味で弁護士会の活動と個々の弁護士の活動の中間形態と考えることができよう。 (b)会として外部支援組織に加入している所としては、静岡県弁護士会がある B 同会の場合、被害者支援問題につき検討しているところに、外部団体(犯罪被害者支援センター)設立の話が先行し、参加を呼び掛けられた経緯があるが、弁護士会と外部支援組織とが対等の形でうまく連携し合っている貴重な例である。 (3)相談の受け方、範囲・内容について @すべての相談を弁護士が受ける会(東京弁護士会、第二東京弁護士会、大阪弁護士会、福岡県弁護士会、大分県弁護士会)と法律相談に限定する会(第一東京弁護士会)に分けられる。 なお、結果的に法律相談に限定される会(静岡県弁護士会、茨城県弁護士会)もある。 A何れの会も、弁護士がカウンセラーとしての活動を完全に行うことはできないし、また行おうとすべきでもないとの点では共通している。 ただ、犯罪被害者と接する以上、一定のカウンセリング的配慮が必要なことも否定できず、かかる配慮をどの程度するべきと考えるかによって、相談の受け方や範囲に違いが生じてくるものと理解できよう(但し、結果的に法律相談に限定される会については、このような視点とは関係なく、第一次的に外部支援組織による相談の振り分けが行われる形になっていることから生ずる結論であり、別個の理解を要する)。 即ち、カウンセリング的配慮をそれなりに重視すれば、とりあえず法律相談に限定せず、弁護士が相談を受ける(前者)ことになろうし、逆に相談の間口を狭くしてでもカンセリング的配慮をできるだけ排除することが望ましいのだと考えれば、なるべく法律相談に限定されたものを弁護士が受ける(後者)ことになると思われる。 B前者の方式によれば、犯罪被害者は、とにかく弁護士に容易にアクセスできるというメリットが生じる(現実問題として心理相談と法律相談を明確に区別できるのかという疑問もある)。しかし、逆にこの方式だと、弁護士が適切に応対できないと却って二次被害を発生させる危険があること((4)の研修制度と関連する)及び担当弁護士の負担が重くなる((5)の業務性の問題とも関連する)というデメリットが考えられる。このデメリットに対しては、研修の充実や複数の弁護士で対応するとか外部支援組織とうまく連携する(直ちにカウンセラーなどの心理相談の専門家に回せる体制の確立)ことにより解決していくことが必要となろう。 これに対し、後者の方式では、前者とは反対のメリット・デメリットが生ずることになる。さらに、後者の方式では、誰が法律相談とそれ以外の相談とを振り分けるのか、適切に振り分けられるのかという問題が生じてくる。したがって、振り分け機能の適正さに関する検証(例えば相談者へのアンケート調査の実施)が必要となろう(この点、第一次的に外部支援組織による相談の振り分けをされたものについて弁護士会が受け付ける静岡県弁護士会の方式が注目される)。 (4)研修制度について @この点、どの弁護士会でも相談を担当する所は、会として研修を実施しているか、今後実施する予定であり、その必要性の点で異論は無い。また研修の目的が弁護士による二次被害を防止するためという点でも共通している。 Aただ、(3)で触れたように弁護士の受ける相談を法律相談に限定しない所では、研修制度の充実の必要を意識しているようである(二次被害防止を研修目的のミニマムと捉える)。この点、事前の研修を相談担当者の義務とする会もあり(東京弁護士会、第二東京弁護士会、福岡県弁護士会)、また研修内容についてもより実践的なもの(ロールプレイング)を目指そうとする会(東京弁護士会)も現れている。 (5)弁護士の支援活動の業務性について @この点について敢えて分ければ、一応(かなり流動的であるが)、弁護士の支援活動を、ボランティア的なものとして捉える会(第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、福岡県弁護士会)と弁護士の業務として成り立たせようと考える会(東京弁護士会、静岡県弁護士会、大阪弁護士会、岡山弁護士会)ということになるであろう。 Aこのうち、前者の中でも、第一東京弁護士会や福岡県弁護士会のように、弁護士の支援できる範囲は法律分野に限られるのだから、その範囲では支援活動をボランティアと割り切るべきだとの考え(その代わり弁護士の負担をなるべく軽減する)と、第二東京弁護士会のように、犯罪被害者から経済的対価を得ることが期待できない以上、ボランティアとして活動すべきであるとの考えに分かれるようである。 Bこれに対し、後者は、ボランティアでは弁護士による被害者支援活動が持続せず、その範囲も広がらないのは問題だとの認識を有しているものと思われる。 この点で参考になるのは、岡山弁護士会の例である。同会では、外部団体の設置する基金から、支援弁護士に費用が支出されることになっており、これにより業務性の問題をある程度まで解決できる(もっとも基金についての財政基盤の問題は生じる)。また、法廷傍聴への付添のような非定型的な活動についても法律扶助の適用を受けられるよう制度を改正することを提言する会もある(東京弁護士会、大阪弁護士会)。 Cなお大分県弁護士会は、駆け込み寺的窓口をまず設置することが重要だという考え方から、現状では無償でもやむを得ないとしている。 (6)会の支援活動の経済的基盤について @訪問したすべての弁護士会で、電話相談及び面接相談につき初回を無料としている。犯罪被害者の経済的負担を軽減するためと考えられる。会によっては、担当弁護士に日当を支払わない所もあるが(第一東京弁護士会、大阪弁護士会、大分県弁護士会)、法律相談センターの予算から支出されている会もある。 A何れにせよ会としての支援活動の継続性を確保するためには、何らかの経済的基盤の確立が必要であることは、どの会も認識している。 各会がこの問題をどのように軽減しているかについて見てみると、まず第一東京弁護士会のように弁護士会の活動範囲を限定することにより弁護士(会)の負担を軽くしようとする方法があるだろう。また、静岡県弁護士会のように外部の支援組織を第一次的窓口とすることで会としての負担を軽くする方法もある(もっとも外部支援組織自体の財源問題は残る)。 ただ、最終的には、法律扶助制度の拡充など、公費を導入して解決をはかるしかないのではないか。 (7)最後に 以上、直接訪問した単位会の比較をしてきたが、今後弁護士会が会として被害者支援活動に取り組む場合の方法論について、簡単にまとめてみたい。 @まず、形式の面では、弁護士会に独自の窓口を設ける方法と、既存の外部支援組織を第一次的窓口とし、そこで振り分けられた問題を弁護士会に回してもらう方法との選択となる。 前者の方法は、連携したい外部支援組織が近くに存在しない場合や、会としての活動を積極的にアピールしたい場合に取られることになるだろう。既存の外部団体と連携しつつ独自の窓口を設ければ、被害者のための窓口がそれだけ広がるということにもなる。 但し、この方式では会にかかる負担がかなり大きなものとなることを覚悟する必要がある。それを軽減するためには、第一東京弁護士会のように、弁護士が受ける相談を振り分けて法律相談に限定する方法が参考になる。もっとも、この方式も事務局に負担を掛けざるを得ず、さらに振り分けの適正さに十分注意を払う必要がある。 これに対し、連携に値する既存の外部支援組織が存在する場合には、この組織の窓口を利用することが合理的であると思う。 A次に弁護士が受ける相談の範囲を法律相談に限定するかという問題については、弁護士の支援活動のあり方に対する考え方、及び、既存の外部支援組織との連携が可能か否かによって結論が異なってくるだろう。 例えば小規模会であれば、外部支援組織と連携して、第一次窓口を担当してもらい、法律相談の部分を回してもらうという方式であれば、運営が十分可能ではないか(各会の相談件数からもそう言えるのではないか)。 Bこのように弁護士・弁護士会の犯罪被害者支援活動のあり方については、いくつかの方法論があり得るが、当面はともかく(この問題に対する取組は、最近始まったばかりであり、未だその検証ができない状態である)、単位会毎にまちまちというのでは、犯罪被害者を始め市民に理解しにくいと思われる。したがって、将来的には、日弁連レベルである程度、基本的なガイドラインを作成することが必要であろう。 | |
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