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関東弁護士会連合会(関弁連)会員の皆様、本年度定期大会のシンポジウムのテーマは「犯罪被害者支援と弁護士・弁護士会の役割」です。
当連合会定期大会のシンポジウムは昭和46年に第1回を実施し、本年度は第29回となりますが、毎回人権問題、公害環境問題、司法改革問題などをテーマとし、弁護士・弁護士会として果たすべき役割を会員の皆様と共に真摯に考え、望ましい社会制度のための適切な提言を行ってきました。
犯罪被害者問題についての日弁連の取り組みは、昭和35年11月12日、日弁連第3回人権擁護大会で「被害者の人権擁護の件」を決議し、その後昭和51年までの間に「犯罪被害補償制度の確立に関する決議」、更に「刑事被害者保障法要綱」「刑事被害補償法案」を発表しましたが、犯罪被害者支援の見地からみて必ずしも充分な活動とは言えないものでした。
しかし乍ら平成9年4月、日弁連において犯罪被害回復制度検討協議会、続いて昨年犯罪被害者対策ワーキンググループが設置されるに及んで、正に本格的な取組に至ったと言えます。
前記協議会発足を契機に、各地の単位弁護士会、ブロック会でも夫々犯罪被害者支援の調査研究・実践を目的とする部会やプロジェクトチームが組織され、被害者問題についての取組が開始されました。当連合会管内13単位弁護士会の大多数も、当該地域の実情に応じて犯罪被害者支援を目的とした委員会或いはセンターの設置、犯罪被害者110番の開設、弁護士ネットワークの運営などを行い、その活動状況は毎年進展をみせております。
関弁連においても犯罪被害者問題は正に弁護士・弁護士会が取り組まなければならない重要なテーマであるとの認識から、この問題を平成12年度定期大会シンポジウムのテーマと定め、松本新太郎委員長のもと調査研究を進め、犯罪被害者の被害実情、各地の支援活動、アメリカ・イギリス・ドイツ諸国の取組の実情、更には現行法制度の問題点など、各班毎にそれぞれのテーマの研究を行ってきました。
犯罪被害者問題を考える上で、大事な基本理念は「被害者は本来自分の意志で、自分の力で、立ち直るものである」という前提、つまり被害者の支援は、被害者の自立を支えることであり、望まない支援は勿論、自立の先取りになるような支援も好ましくない。その意味でも被害者救済ではなく、支援であり、援助なのだと考えられています(自由と正義
平成10年11月号113頁)。
更に真に犯罪被害者を支援するためには、法制度の完備のみではなく「被害者の状況を理解して周囲の人々が努力すること」つまり「被害者にやさしい社会づくり」が必要であるとも考えられています(全掲122頁)。
この様に犯罪被害者支援を真に実効あらしめるためには、法制度の整備と共に、犯罪被害者本人とその家族更には友人知人ら関係者との人間的なふれ合いもなおざりにできないものであり、むしろ積極的にその心情を理解する努力をなさねばならない、と言われています。
弁護士や弁護士会は、永年に亘って刑事事件に関し被疑者・被告人の弁護活動にたずさわり輝かしい成果を上げてきました。これに比べて犯罪被害者問題は漸く端緒に着いたばかりであり、今後多くの研究と実践を経て、より良い制度へと育ててゆかねばなりません。
私は本年度シンポジウム委員会が、この様に奥の深いそして困難なテーマに取り組み、本書のような立派な研究成果をあげたことに深い敬意を表すると共に、この成果が犯罪被害者問題の今後に大きな役割を果たすことを心より念願するものです。