関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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「16種類の具が入ったお雑煮レシピ」

緒方義行(東京弁護士会)

親しい方々からワイン好きで知られている私。日本ソムリエ協会のシニアワインエキスパートの認定も受けている。しかも、日本イタリア料理教室協会からイタリア料理研究家(ただし、3級)なんて認定も受けていたりするもんだから、ひとによっては、私のことを、イタリアワインばかり飲んで、イタリアンばかり食べていると思っていたりする。

今回も、関弁連会報広報委員会から、ぜひワインの話をブログに書いてほしいと言われたのだが、期待を少々裏切って、佐賀にある私の実家のお雑煮の話をさせていただくことにした。

実家といっても、すでに両親とも他界しているので、実家の兄嫁が作るお雑煮の話である。これがなんと16種類の具沢山なお雑煮なのだ。材料とともにレシピを聞いてきたから、これを紹介したい。

16種類の具材は、①丸餅(つきたての餅を湯の中で柔らかくしたもの)、②③紅白かまぼこ、④伊達巻き又は厚焼、⑤⑥梅形に型抜きした紅白の人参と大根、⑦かつお菜(福岡特産の葉野菜で高菜の仲間。漢字で「勝男菜」と書くことから縁起物として正月の雑煮には欠かせない。アクが少なく辛みもなく、煮ると旨みが多くほんのり甘味が感じられる。)、⑧ぶり(ひと口大に切り軽く塩をしておいたものをさっとゆがいておく。)、⑨茹でた車海老、⑩茹でたうずらの卵、⑪鶏ムネ肉、⑫蓮根、⑬しいたけ、⑭里芋、⑮タケノコ、⑯銀杏...これらの具材もそれぞれ切る煮るなどして下ごしらえしておく。

汁は、味噌は使わず、しっかりした出汁をとる。素材は、①焼きあご(トビウオを焼いたもの)、②干し椎茸(どんこ)、③昆布を30日の夜からお鍋にいっぱいの水に一晩(というか丸一日)つけておいたものをひと煮立ちさせ、薄口しょうゆと酒で味付けする。透明に近い、わずかに黄金色の光沢のある汁ができる。

そして、これをわずか直径12センチほどの普通の汁椀(雑煮椀)に盛る。

それぞれ個性を持ちつつ、互いにそれが調和した16種類の具がぎっしりと入ったお雑煮の出来上がりだ。

201601 ogatayoshiyuki shashinn.jpgこのお雑煮を食べながら、日本酒利き酒師でもある私がいつも合わせるのが地元佐賀の銘酒「東一」純米吟醸(ちなみに、すでに食前酒として大吟醸をいただいている。)である。くぅぅっ、感謝感謝の至福の正月。

ほろ酔いでいい気分でいると、普段ほとんどお酒を飲まず、酒飲みの弟の身体のことをいつも心配してくれる兄が、このお雑煮に合うようなワインはどんなものかと聞いてきた。やはりわたしにはワインの話を聞かれるかと思った私は、佐賀の銘酒に匹敵するワインとして、迷わずモンラッシェの名を挙げた。三銃士の著者アレクサンドル・デュマが「帽子を手にとり、ひざまづいて飲むべし」と言ったという、フランスはブルゴーニュ地方の白ワインである。

続けて兄はワインにも甘いワインというのはあるのか聞いてきた。実家で飲むお屠蘇が甘口だからであろう。私は貴腐ワインのことを話し、これまたフランスはボルドー地方のソーテルヌ村で造られる特別1級シャトー・ディケムの話をした。1本の葡萄樹から造られるワインの量は、グラスでたった1杯分と言われる甘口ワインの王様だ。

それらのワインがいかに貴重で素晴らしいかを熱弁しているうちに、私は、次の機会には、ワインを実家に持参して、美味しすぎるこのお雑煮と日本酒とワインとを合わせるマリア―ジュを試させてもらいたいと思いついた。そして、普段お酒をほとんど飲まない兄にもひと口飲んでもらって、こんな酒飲みの弟の気持ちを理解してもらうのだ。

そこで、来年の正月にはワインを実家に持参しようと思うのだが、なにしろ紹介したようなワインは安いものでも一本10万円は下らない。場合によっては数十万円もする。とても私の力では用意できそうにない。

ひょっとすると、まずいワインしか用意できず、結局、美味しいお雑煮と地元の銘酒をいただくばかりになるかもしれないが、そのときは勘弁れん。

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