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りじちょーの勘弁してね日記(番外編の3/3)

(夏休み旅行記、第3弾!)

理事長 若林 茂雄(第一東京弁護士会)

     

8月5日、この日はジオガイド同行で秋田県のゆざわジオパーク巡り。山形県銀山温泉から県境を越えて秋田県湯沢市を目指す。

  

湯沢市小野は小野小町生誕の地。国道13号線沿いの市女笠の屋根がユニークな道の駅おがち「小町の郷」で「ゆざわジオパークガイドの会」のジオガイドと合流、レンタカーに同乗してもらって出発。

  

ガイド氏の案内でまず近在の藁人形道祖神、カシマサマ(鹿島様)へ。カシマサマは秋田県中南部に特有の藁人形で、集落の境の道路脇に置かれている。背丈2メートルほど、腰に藁で作った刀を差し、男のシンボルを持っている。災厄の侵入を防ぐことと五穀豊穣子孫繁栄を祈ったものと思える。この藁人形道祖神が「カシマサマ」と呼ばれる由来には諸説あるものの、いずれも推測の域を出ないそう。

   

廃校小学校の校舎を利用している「ジオスタ☆ゆざわ」(湯沢市郷土学習資料展示施設)へ。説明員から湯沢市の地熱発電(発電力約75,000kWは一般家庭約14万世帯の消費電力に相当。湯沢市の世帯数は約15,000)、他の地熱利用産業(低温殺菌乳製品や乾燥野菜など)について説明を聞きました。当たり前ですが、温泉だけではないですね。

   

お昼は稲庭うどんの佐藤養助総本店(銀座にお店がありますね)で食べ、三途川渓谷へ。

ガイド氏によれば、三つの川が合流する場所で三津川と呼ばれていたのが、川原毛地獄に近いことから三途川に変化したそう。高松川に架かる三途川橋の四隅に閻魔大王・泰山大王・延命地蔵・合掌地蔵の石像4体が鎮座していて、なかなか手がこんでいる。

  

三途川渓谷は、500万年前~300万年前に存在したカルデラ湖の底に泥・砂・火山灰が堆積し、それが隆起したのちに高松川の流れによる浸食でできたV字谷。三途川橋から川底まで高低差約40m、渓谷の側面壁に地層(三途川層)の縞模様がよく見える。秋の紅葉が見事だそう。

   

次に、三途川から川原毛大湯滝(かわらげおおゆだき)へ。

川原毛大湯滝は、滝の上流で湧出する温泉が沢水と合流して流下する温泉滝で、滝壺は水着で入る天然の露天風呂。入浴適期は7月上旬から9月中旬。冬期は滝駐車場への道路が通行止めでアクセスできない。

  

県道51号線を泥湯温泉方面に進み、ガイド氏の案内どおりに途中の三叉路交差点を右折して市道湯尻沢線を川原毛大湯滝駐車場へ。対向車をやり過ごせる場所が限られるので運転注意。駐車場に車を置き、水着を持って大滝まで徒歩で林間の山道を約15分。ほぼ平坦な道を進み、樹間から滝が見え、水音が聞こえると、下り道になって川原に降りる。滝は左右の二条流下し、左は二段になっていて下段落差は約10m、右は一気に落ちる落差約20m。ガイド氏が川の水温とpHを測定。水温は約38℃、pH1~2。強酸性のぬる湯温泉のような印象、硫黄臭はあまり感じない。

  

10人ほどの先客は靴を脱いで足湯をしている程度で滝壺に入っている人はない。川原の高台にある脱衣所で水着に着がえ、いざ出陣。流されないように気をつけながら川底の岩づたいに落差の小さい左の滝壺へ。まさに滝壺を独占してぬる湯温泉に入った感じ。深さ1m程度だが流れが強く、いい湯だなと寛ぐ余裕はない。流れに逆らって滝に近寄り、滝行の行者のように背中から滝の中に入ろうとするが流れが強く難しい。そして、体に当たる滝の水圧のすごさ、まともに頭部に受けたら頸部を捻挫しそう。これはだめだ。滝から少し離れて滝壺に入っているのが正解。水力発電所の落差100mの水力のすごさを想像した。

  

   

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次に落差の大きい右の滝壺で滝に接近を試みた。体にあたる滝しぶきが痛くて早々に退散。左の滝壺に戻り、やれやれ。数日前の雨のせいか、滝の水量が多いみたい。

他の観光客も滝壺に入り始めた。入浴を切り上げ、着がえて山道を駐車場に戻る。

  

そして、川原毛大湯滝から川原毛地獄(かわらげじごく)へ。

県道51号線へ戻り、県道310号線に入って泥湯温泉を過ぎて登り坂を行くと、強い硫黄臭が鼻をつく。一面灰白色の岩石に覆われて草木がなく、荒涼とした起伏のある一帯に到着。青森県の恐山、富山県の立山と並ぶ日本三大霊地の一つ、秋田県の川原毛地獄。

駐車場に車を停めて地獄全体を遠望。高濃度の有毒ガスが噴出し危険なので通路以外は立入禁止。先のほうの地獄中腹で高温の温泉が噴出していて、沢水とともに先ほどの川原毛大湯滝に流れ込んでいるとのこと。

    

地獄に長居は無用、本日のハイライト、小安峡(おやすきょう)へ。

まず、「ジオスタ☆ゆざわ」で教えてもらった小安峡の温泉熱を利用して低温殺菌牛乳を製造している栗駒フーズの工場。ここでは、何はなくとも、この牛乳で作ったガイド氏もお勧めのソフトクリームを食べる。乳脂肪の濃厚な味、めちゃんこうみゃー。

  

続いて小安峡観光。小安峡は、皆瀬川の流れが堆積地盤を浸食して形成されたV字谷。小安峡に架かる赤いアーチの河原湯橋(道路)から谷底まで高低差約60m。

道路から谷底まで遊歩道を下り、皆瀬川河畔を歩く。小安峡の堆積岩が地下のマグマの熱で変性固化し、V字谷両岸の崖面は畳を重ねたように薄い岩が層をなしている。断崖面に露出した変性岩の亀裂から地熱貯留層に溜まっている熱水や蒸気が噴出するのが小安峡一番の名所「大噴湯」。頭上に川原湯橋のアーチが見え、辺りのV字谷断崖面から熱湯と蒸気が激しく噴出している。秋田県湯沢市観光物産協会によれば223ℓ/分の熱湯が噴き出るとのこと。ガイド氏が熱湯噴出亀裂の直近で温度を測ると97℃の熱湯。冬場には60m上の橋近くにまで蒸気が届くことがあるそう。生きている地球を実感。

 

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大変お世話になったガイド氏と小安峡でお別れし、当日の宿泊先、小安峡温泉の湯の宿元湯くらぶへ。

小安峡「大噴湯」のすぐ近くに位置する旅館だけあって、この宿には98℃の源泉があり、加温なしの温泉を楽しめる。泉質は弱アルカリ性の単純泉。お風呂は男女別大浴場(内湯と露天風呂)と貸切風呂3つがあり、他に風呂付き客室もある。

  

きはだ風呂という貸切風呂に入った。入浴の都度源泉のバルブを開けてもらって空の浴槽に新しい源泉を張るのだが、結構大きな浴槽が5分ほどで満杯近くになるほど大量の源泉(火傷するほどの熱湯で、源泉そのままと思われる)が消火栓から噴き出す水みたいに湯口から一気に注がれる。浴槽にある程度溜まったところで源泉流入量を絞るが、熱すぎて適温にするためにかなりの加水が必要で、結構入浴前の準備がいる。そして、入浴が済んだら浴槽の栓を抜いて空にしておく。

  

まちがいなく新鮮な温泉に入浴でき、肌触りが柔らかく、湯上りのぽかぽか感も長くてよい温泉だが、せっかくの源泉を水割りにするのと風呂をうめるのに手間をとられるのが残念。地元の食材を使った食事はおいしい。

    

8月6日、山峡の一夜が明け、天気もまずまず。

今日は新庄へ戻り、帰京する。山形で昼食に蕎麦を食べることにした。

山形県村山市の「最上川三難所そば街道」にある老舗蕎麦店、あらきそばを訪ねた。

1920年創業、江戸時代末期の茅葺屋根の建物が店舗。正午少し前だったが、駐車場に車を停めて並ばずに入店。土間から上がった30帖~40帖ほどの大広間にレトロな雰囲気の電灯が灯り、座卓と座布団が置かれている。

  

極太の蕎麦を秋田杉の板器に薄く盛る「板そば」で有名。普通盛りの「うす毛利」を頼んで待つこと10分ほど。出されたのは縦15cm横50cmほどの板器に盛られた極太蕎麦。グニュとくるほどの歯ごたえとコシ、すするというより噛むような感じ、挽きぐるみ蕎麦の予想したざらつく舌ざわりとは異なる滑らかな蕎麦。そして香り。濃い蕎麦つゆ。

創業百年以上の歴史ある名店の味、ぜひお運びを。

   

無事に新庄に戻り、レンタカーを返してつばさ号に乗り込む。楽しい夏休みでした。次は月山訪問だ。

   

最後に、2点ご案内。

まず、今回の企画に協力してくださった旅行会社の経営者。

妻の知人ですが、中央アジア、シルクロードの旅行に強いそうなので、そちら方面の旅に関心がある方はお知らせください。ご紹介します。

   

次に「ゆざわジオパークガイドの会」。

「温泉と地熱の里!」といわれる「ゆざわジオパーク」を訪ねるにあたり、上記の旅行会社経営者からジオガイド同行ツアーの提案をうけ、今回案内してくれたガイド氏を紹介された。当方の希望を踏まえた事前のプラン提案から始まり、現地での親切でわかりやすい説明まで、非常に満足できました。

興味のある方は、「ゆざわジオパークガイドの会」所属ジオガイド同行の旅行を検討してはいかがでしょうか。

「ゆざわジオパークガイドの会」連絡先は、秋田県湯沢市公式観光サイト「湯沢たび」のツアーガイドページをご参照ください。

https://www.city-yuzawa.jp/site/yuzawatrip/1993.html

(おしまい)

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