関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

2023年度(令和5年度) 声明

パレスチナ ガザ地区における即時停戦を求め、
日本政府に対して停戦の実現に向けた働きかけをすることを求める理事長声明

 2023年(令和5年)10月7日、イスラム組織ハマスによりイスラエルへの武力攻撃が行われ、これに端を発してガザ地区においてイスラエル・ハマスの両紛争当事者による戦闘状態が継続している。これにより多数の市民が犠牲となり、あるいは避難を余儀なくされている。人質の解放は限定的なものに過ぎず、ガザ地区においては病院等社会インフラが破壊され、同地区の再建に多大な困難が生じる事態となっている。さらに、この紛争を契機として、中東各地で武力衝突、武力攻撃が行われるようになり、中東地域全体の平和と人権保障に大きな悪影響が生じている。
 両紛争当事者は、それぞれ宗教的信条や民族の歴史的背景を基にするとはいえ、自らの行為の正当性を主張し、相互に武力衝突・武力攻撃を繰り返してきた。このような状態に一応の決着をつけ地域の安定を生み出した歴史的な合意とされるオスロ合意すらも、短期間に有名無実化されており、現在のところガザ地区に平和と安定が戻る道筋はまったく見えない。しかし、これ以上の戦闘状態の継続は双方にとって弊害が大きく、紛争解決につながらないことは明白である。
 日本国憲法前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とある。
 関東弁護士会連合会は、この日本国憲法の恒久平和主義の理念にのっとり、日本政府が、両紛争当事者に対し、直ちに停戦し、双方が平和維持や治安維持に尽力し、人道的な配慮に協力し、和平合意の成立に向けて努力するよう働きかけること、及び和平交渉の仲介等可能な限りの停戦に向けた努力をすることを求める。また、日本政府に対し、2024年(令和6年)1月26日付けの国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令をイスラエルが忠実に履行するよう、同国に働きかけることを求める。
 関東弁護士会連合会は、恒久平和主義の理想の実現に向けて取り組む所存であり、自らの立場を強く自覚するとともに、本理事長声明を発出する。

 2024年(令和6年)3月26日

関東弁護士会連合会   
理事長 杉 本 喜三郎

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