関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

弁護士偏在問題~ひまわり~弁護士偏在問題~ひまわり~

ひまわり No.18

平成27年12月発行(本記事に記載された内容は本冊子発行時点のものです。)

本庁から遠い地域で活動する弁護士

第一東京弁護士会   古賀 礼子

1.はじめに

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武蔵大和駅

 私が所属する稲坂将成法律事務所は、東京都東大和市内(最寄り駅:西武多摩湖線武蔵大和駅)にて、65期の稲坂が、いわゆる“即独”をして開業した事務所です。平成25年3月開所後、同年12月に私が入所、翌年11月には、さらに66期弁護士も加わりました。現在、若手弁護士3人体制で、多摩地域に住む方々の法律問題に関わるお悩みを解決すべく取り組んでいます。
 当事務所の活動状況を、地域の特性とともに、ご紹介いたします。

2.裁判所までの距離

 (1)本庁まで

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事務所外観

 当事務所は、本庁(霞が関)まで、1時間半近くの時間を要する遠距離に位置づいています。本庁に行くには、電車を使いますが、最寄り駅まで、徒歩5分以内の距離とはいえ、10分前には事務所を出ます。
 武蔵大和駅は、西武遊園地駅の一つ手前で住宅街にあり、通勤時間以外の日中は、運行列車の本数が少なくなり、1時間に3本、20分おきにしか、発車しません。しかも、乗換接続方法も限られているため、全体の移動時間がどうしてもかかってしまいます。
 唯一の利点は、日中の移動中の電車内は、比較的すいているので、本を読んだり、業務連絡メールをしたり、思い切って休憩したりすることで、時間を有意義に活用できることです。

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多摩湖

(2)立川支部まで
 当事務所は、多摩地域にあるので、もっぱら立川支部での活動が中心になっています。また、刑事事件も、多摩支部より配点を受けることが多く、多摩地域に所在する各警察署への接見活動のほか、立川拘置所、検察庁の立川支部などに行くこともあります。東京三会多摩支部も、同じ最寄り駅(多摩モノレール高松駅)にあるので、会務活動のために行くことも多いのです。
 移動手段は、電車だと、1時間近くを見込んでいなければなりません。本数や接続の悪い武蔵大和駅からでは、電車に乗っている時間自体は少なくても、乗換待ち時間が、どうしてもかかってしまうのです。そのため、実は、車での移動が大変便利なのです。裁判所にも駐車場があるほか、高松駅のすぐそばに大型パーキングエリアがあるため、停めやすいのです。車を運転する弁護士は、もっぱら車で移動します。天気が悪い日や、時間帯によっては混んでしまうこともあるのですが、たいてい30分で到着します。多摩地域で活動する弁護士の多くは、立川駅付近だけではなく、JR中央線の八王子や吉祥寺付近などに散在していますが、たいてい立川駅でモノレールに乗り換えて移動する手間がかかります。比較してみても、車で移動しやすい当事務所は、裁判所に行きやすい事務所といえるのです。
 調停期日など、依頼者本人も出頭する場合、まず、事務所に来てもらって、一緒に車に乗って裁判所まで移動することもあります。まるで密室の相談室と同じように、打ち合わせをしたり、雑談しながら移動できることは、裁判の当事者として緊張したり不安を感じている依頼者の心がほぐれるお手伝いになっていると感じています。

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電チャリ

 さて、私自身は、運転をしないので、たいてい、仲間の弁護士の車に一緒に乗って移動するばかりでしたが、この夏、画期的な移動手段を入手しました。電動アシスト自転車(電チャリ)です。事務所から、多摩モノレールの駅まで、電チャリであれば、20分。モノレールで10分もすれば、裁判所まで移動できるのです。これまで、単独では、大回りをする電車での移動で1時間以上かけるしかなかったのに、時間の短縮を図ることができたのです。しかも、さらに頑張れば、電チャリ30分強で、裁判所に向かうことが可能になりました。そうすると、裁判のあとの接見も電チャリで“はしご”することができ、仕事の効率向上をもたらし、ひいては、意欲の向上をもたらしてくれるのです。

3.活動内容

 当事務所を開業した稲坂は、誰でも近くにいる弁護士に頼れる状態をイメージして、比較的法律事務所の少ない地域で開業することにしたそうです。
 多摩地域の特徴として、法律事務所が裁判所の周りに固まっているのではなく、地域全体に散在していることです。これは司法サービスの充実という面で全国に誇れることだと私は思います。しかし、それでも、誰でも家の近くに弁護士がいるという状態にまでは至っていません。
 当事務所も、実は車で立川支部の裁判所まで遠くはないのですが、立川まで行くこと自体に遠いと感じているお客さんが多くいます。そのため、市民に寄り添うために、あえて住宅街に事務所を開業することの意義は大きいはずです。
 住宅街にある事務所にやってくる依頼者というのは、家族のことで悩んでいる方が多くなります。従来、家事事件といえば、保護すべき母子のための活動が中心的となっているイメージがありました。しかし、現在では、父子引き離しといった社会問題が顕著となって、父親・男性側に寄り添うべき法曹が必要であるにもかかわらず、未だ男性に対する司法サポートが充実しているとはいえない状況に直面しています。
 弁護士探し自体に困難を極めている依頼者が、はるばる多摩地域の僻地ともいえる場所に存する当事務所を頼ってくださるケースも増えてまいりました。
 一見、ただの住宅街にある事務所ではありますが、電チャリも駆使して、複雑な路線の中から適切な移動手段を選択することで、駆け付けることのできる地域は多々あります。若手・他学部出身が集う当事務所だからこそ、法曹界の常識からすれば“異色”かもしれないながらも、真に司法救済を求める依頼者に寄り添っていけるものと自信をもって、日々、活動しています。

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応接室

4.ママ弁として

 昨今のワークライフバランスに注目した「働き方」の模索は、本業界にとどまりませんが、育児もキャリアも両方あきらめない取り組みには、元々関心があって、法曹になるまでの長くなってしまった受験期間中も、“両立”の視点を意識していました。私は、あえて、ロースクール在学中に出産し、息子を育てながら、司法試験に挑み、合格後の司法修習生活も、基本的に自分で息子をこども園に送迎するなど、実践的に育児との両立をしてきました。そのかいあって、弁護士1年目にして、7学年ぶりに妊娠・出産・短期の育休期間だけで、保育園探しも難なくこなし、職場復帰することを果たしました。時には、娘連れで出勤することもあり、育児をしながらでも仕事ができることの実践を日々積んでいます。
 多摩地域には、同世代の先生方が多く、ベビーラッシュ。自ずとママ弁・パパ弁が多く、一緒に子育てを楽しみつつ、両立の形を模索し合える環境にも恵まれているのです。特に、所属している両性の平等委員会では、先輩ママ弁が多いのもあって、子連れでの出席を受け入れて下さるので、大変ありがたいです。孤育てに陥ることなく、仕事をする上で勉強になる機会もあったことで、復帰への意欲を失わずに済んだのです。ママ弁の活躍が、他の業界で活躍するママたちのキャリアへの応援にもなると思って、しなやかに、やりがいのある仕事を一生懸命取り組んでいます。

5.最後に

 法曹業界の未来は、明るく語られる機会ばかりではありませんが、やり方次第で、やりがいを実感しながら取り組める活動がまだまだあふれていると思います。特に、多摩地域は、多摩支部の本会化の夢に向けて、大ベテランの先生方々はじめ、多摩弁が一丸となって取り組んでいるなど、活気に満ちています。多摩弁の取り組みが、日本全体の司法サービスの常識を覆していくのではないかとも期待して、私も日々精進です。

以上

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事務所の緑化

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