関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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平成25年 声明

特定秘密の保護に関する法律案の概要に対する意見

 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」によれば,行政機関の長は,別表に該当する事項(公になっていないものに限る。)であって,その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障をあたえるおそれがあるため,特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定するものとされ,別表には,①防衛に関する事項,②外交に関する事項,③外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項,④テロ活動防止に関する事項が列挙されている。

 しかし,特定秘密の範囲は,列挙されている事項が多岐にわたり,あらゆる分野の情報を対象としていることから,その範囲が広範にすぎ,かつ,その概念が曖昧であって,本来であれば国民に提供されるべき情報が行政機関の判断のみによって特定秘密に指定され得るものである。

 たとえば,別表第1号(防衛に関する事項)として列挙されているもののうち,
ホ 武器,弾薬,航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
チ 武器,弾薬,航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様,性能又は使用方法
リ 武器,弾薬,航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの制作,検査,修理又は試験の方法
において各記載の「武器」には何らの制限がないから,核兵器も含まれると考えられる。

 そのように解釈されれば,核兵器の種類又は数量,核兵器の研究開発段階のものの仕様,性能,使用方法並びに制作,検査,修理又は試験の方法について,我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため,特に秘匿することが必要であるものとして,行政機関の長により特定秘密として指定することができることになる。

 しかし,特定秘密として指定されたときは,我が国において,国民に秘密にされたまま核兵器の研究開発等をすることが可能となり,我が国の核武装に道を開きかねない。

 以上のとおり,「特定秘密」として指定される別表に該当する事項は,その範囲が広範にすぎ,かつ,その概念が曖昧であって,国民の知る権利や取材・報道の自由を含む表現の自由等を侵害することになり,更には,国民主権主義に反することになるから,当連合会は,本法律案の概要に強く反対する。

2013年(平成25年)9月17日
関東弁護士会連合会
理事長 栃木 敏明

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