関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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平成26年 意見書

商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対する意見書

意見の趣旨

 商品先物取引法が適用される個人顧客を相手方とする商品先物取引について,不招請勧誘(顧客の要請をうけない訪問・電話勧誘)の禁止規定を大幅に緩和する施行規則改正案(第102条の2第2号)に強く反対する。

意見の理由

 経済産業省,農林水産省は,2014年4月5日,商品先物取引法施行規則(規則102条の2)改正案をパブリックコメントに付したが,改正案においてはハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に,熟慮期間等を設定した契約の勧誘(顧客が70歳未満であること,基本契約から7日間を経過し,かつ,取引金額が証拠金の額を上回るおそれのあることについての顧客の理解度等を書面により確認した場合に限る)について不招請勧誘の禁止の適用除外としている。
 しかし,これは70歳未満に対する不招請勧誘をほぼ全面解禁するに等しく,不招請勧誘の禁止規定を骨抜きにするものであって,極めて問題のある改正であると言わざるを得ない。
 そもそも不招請勧誘の禁止が導入された経緯であるが,過去において,商品先物取引の複雑な仕組みや高い経済的リスクについて把握せず,取引への適合性もない消費者に対して,商品先物取引業者が,突然の電話や訪問による取引の勧誘により取引に引きずりこみ,その結果,取引に入った消費者が深刻な損害を被るという事案が多数生じていたことから,消費者・被害者関係団体等の長年にわたる強い要望により,2011年1月にようやく導入されたものである。
 不招請勧誘が禁止された後,商品先物取引を巡る消費者の苦情相談は激減しており,不招請勧誘の存在が商品先物取引における消費者被害において大きな原因であったことは明らかである。
 しかるに,今回の規則改正案102条の2第2号は,不招請勧誘禁止の例外規定を大幅に拡大し,事実上,70歳未満の顧客に対する,無差別の電話訪問勧誘を解禁する内容であって,不招請勧誘の禁止規定は骨抜きになってしまう。
 7日間の熟慮期間制度や理解度等を書面で確認する方法についてはこれらが有効に機能するとは到底考えられない。熟慮期間についてはかつての海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律に14日間の熟慮期間を設ける類似規定があり,また,理解度等を書面で確認する方法も,過去に類似の例をいくつも置きながらいずれも顧客保護のために全く機能しなかった。そもそも,取引に引き込まれた被害者は,勧誘員のセールストークを信じ込んでいるのであって,7日間程度の期間では翻意の可能性はほとんどなく,業者従業員の指示通りに確認書面を作成してしまうのは過去の被害事例を見ても明らかである。
 また,今回,商品先物取引業者等の監督の基本的な指針(以下「監督指針」という。)も同時に改正するとして,改正案が示されている。これによれば70歳未満でも,年金生活者への勧誘や,習熟期間を経過しない顧客への一定量を超える取引の勧誘を制限するとある。しかし,昔からある自主規制・ガイドラインについても,その規制・ガイドラインの潜脱行為が横行し,何ら商品先物取引に関する消費者被害は減らなかったものであり,このような監督指針には実効性は期待できない。
 2012年8月に産業構造審議会商品先物取引分科会がとりまとめた報告書においては商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制を維持することが確認されており,さらに,内閣府消費者委員会の2013年11月12日付意見書,2014年4月8日付意見書は,商品先物取引の不招請勧誘禁止規制の緩和に反対しているのであって,これらの意見を尊重すべきである。

 従って,当連合会は,不招請勧誘の禁止規定を大幅に緩和する施行規則改正案(第102条の2第2号)に強く反対するものである。

2014(平成26)年4月30日
関東弁護士会連合会
理事長 若旅 一夫

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