関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

平成30年度 声明

「公益通報者保護専門調査会 中間整理」に関する理事長声明

 内閣府消費者委員会公益通報者保護専門調査会は、平成30年7月18日、「公益通報者保護専門調査会 中間整理」(以下「本中間整理」という。)を取りまとめた。
 本中間整理では、公益通報を理由とする不利益取扱いを行った事業者に対する勧告及び公表等の行政措置の導入、不利益取扱いが通報を理由とすることの事業者側への立証責任の転換など、公益通報者の保護を拡充する方向性が示されている。
 また、行政通報の各行政機関への回付及び各行政機関に対する監視是正機能を有する一元的窓口の設置、事業者に対する内部通報体制整備の義務付け、事業者が内部通報体制を整備しない場合における2号通報及び3号通報の外部通報要件の緩和など、公益通報者制度の利用をより容易にする具体的方策が検討されている。
 以上の点は、当連合会が平成27年8月3日に発表した「公益通報者保護制度に関する意見書」(以下「当連合会意見書」という。)の要望・趣旨に沿うものであり一定の評価ができる。
 他方で、本中間整理では、公益通報を理由とする不利益取扱いを行った事業者に対する刑事罰については慎重な検討をするものとされ、命令制度の導入や解雇以外の不利益取扱いに関する立証責任の転換については引き続き検討するものとされているなど、当連合会意見書の要望・趣旨に照らすとなお不十分な点が残されている。
 また、通報を裏付ける資料の収集行為に対する刑事免責について慎重な検討を要するものとされており、民事的免責についても通報者を保護する具体的方策が示されておらず、民事上・刑事上の責任の減免や懲戒処分の発動を抑制する旨の規定の速やかな検討及び法改正の実現が必要である。
 よって当連合会は、上記論点等についての速やかな具体的検討と、当連合会意見書で述べた刑事罰の導入及び資料収集行為に対する免責を含む法改正等を迅速に実現するよう改めて要望する。


2018年8月23日
関東弁護士会連合会
理事長 三宅 弘

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