関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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平成30年度 声明

第2回「こども憲法川柳」応募に感謝する理事長談話

 第2回「こども憲法川柳」に対するご応募に感謝して、日頃から日本国憲法について考えることの大切さについて、談話とします。
 今年は、明治維新から150年目という節目にあたり、NHK大河ドラマは、西郷隆盛を主人公とする「西郷どん」(SEGODON)が放映されています。1868年1月の鳥羽・伏見の戦いから戊辰戦争を経て、薩摩藩・長州藩の下級武士を中核とした明治政府が樹立されていく過程が放送されています。その後、明治政府は、憲法制定を求める自由民権運動に押されて、大日本帝国憲法を制定します。その後、「坂の上の雲」を求めて、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦に参戦し、立憲君主国家として富国強兵策をとります。大正デモクラシーの時代には、同時に、帝政ロシアのアジア進出を恐れて、朝鮮半島に支配権を及ぼし、1910年には朝鮮半島を大日本帝国に併合し、その後、昭和の時代に入ると、中国東北部にまで影響力を及ぼして1932年の満州国の樹立にかかわります。1937年7月には大日本帝国陸軍が中国北京西南方面の盧溝橋事件で中国国民革命軍との衝突事件を引き起こし、宣戦布告のない日中戦争に入り、1941年12月には、米国や英国に宣戦を布告して太平洋戦争に突入します。
 1945年8月15日に、ポツダム宣言を受諾して、1937年以来のアジア・太平洋戦争を終わらせます。治安維持法、軍機保護法、国防保安法なども廃止となりました。その間、戦地はもとより、沖縄、広島、長崎を含む日本人の戦死者は300万人を超え、アジア・太平洋における人々の戦死者は、一説によれば2000万人を超えると言われるほど、多くの犠牲者を生みました。戦争は最大の人権侵害です。
 この犠牲のうえに、1946年11月に公布、1947年5月3日に施行されたのが日本国憲法です。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原則として、権力者の専制をしばり人々の権利を護る立憲主義に基づいています。とりわけ、戦争を放棄し(9条1項)、その目的達成のために陸海空軍その他の戦力は保持せず、国の交戦権は認めていません(9条2項)。また、「生命、自由及び幸福追求の権利」(13条)は、平和的生存権、環境権、知る権利、プライバシー権などの新しい人権を生み出す源となっています。
 最近では、特定秘密保護法の制定(2013年)、集団的自衛権行使容認の閣議決定(2014年)、安全保障法制の制定(2015年)、及び共謀罪を認める組織犯罪処罰法改正(2017年)という、強行的にこの国のあり方を変える動きもありますが、立憲主義、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という基本原則の基で、私たちの日々の生活が営まれるべきことに変わりはありません。
 関東弁護士会連合会は、このような日本国憲法をとりまく歴史と営みをふまえ、第2回「こども憲法川柳」を公募し、477の応募作品をいただき、優秀作品を選考してきました。第2回「こども憲法川柳」のご応募に感謝するとともに、日頃から日本国憲法について考えることの大切さをお伝えしたいと考えています。この国に住む若い皆さんが、今後も、日本国憲法の基に、この国の未来を切り拓いてくれることを大いに期待しています。


2018年11月15日
関東弁護士会連合会
理事長 三宅 弘

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