関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

2021年度(令和3年度) 声明

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から11年を迎えるにあたっての声明

 本日,平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」といいます。)から11年を迎えました。あらためて犠牲者の皆様に哀悼の意を表すとともに,被災者・被害者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 発災当時,私たちは,関東弁護士会連合会支援統括本部を設置し,東京都内等の大規模避難所における面接相談や出張相談を行いました。また,発災の約半年後より開始した原子力損害賠償・廃炉等支援機構の実施する福島県内各地での個別相談会や説明会への弁護士派遣は,現在でも重要な活動の一つとして位置付け,活動を継続しています。発災から11年の間,被災者の方々,支援者の方々,関係者の方々の復興に向けた弛まぬ取り組みに心から敬意を表します。
 もっとも,津波被災地では,津波被害の復旧は進んでいるようにも見えるものの,依然として住民一人一人の災害ケースマネジメントを通じて生活再建支援に取り組む必要性は高く,自治体や専門家による支援の継続の必要性が高まっています。また,令和4年1月28日現在でも原発事故を原因とする全国の避難者数は約3万9000人に上ることや,約1万2000人を超える被害者が原発事故に基づく損害賠償を求め全国各地の裁判所に集団提訴した損害賠償請求事件がいまだ続いていることが示すように,原発事故のかつてない甚大な被害は依然として回復されているとは言い難いところがあります。
 東日本大震災は,弁護士による被災者支援活動のあり様を考える契機となり,支援活動を通じて得た教訓は毎年のように全国各地で発生する地震災害,台風・豪雨災害,コロナウイルス感染症をめぐる自然災害債務整理ガイドラインの運用など,弁護士による復興支援活動の礎となっています。昨年,東日本大震災の発生から10年という節目を迎えたものの,これはあくまでひとつの節目にすぎません。復興に向けて生きる被災者・被害者の方々の取り組みはこれからも続き,支援に携わる弁護士の必要性は高まるとともに,よりきめ細かい支援が必要になってきているといえます。
 私たちは,引き続き,被災者・被害者の人権擁護のため,個々の被災者・被害者に寄り添いつつ,その生活再建や適切な賠償の確保のために,より一層の努力をする所存です。

2022年(令和4年)3月11日
関東弁護士会連合会   
理事長 海老原 夕 美

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