関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

法教育法教育

黙秘権,不利益供述の強要等を扱う授業

 黙秘権は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」(憲法第38条第1項)と規定により保証されるもので,刑事裁判における重要な権利として,中学校の公民の教科書にも必ず登場します。
 しかし,黙秘権は,「真実を明らかにするためには,黙っているのではなく,正直に話すべきだ。」という素朴な感覚に反するものであり,黙秘権の意義を理解してもらうのは簡単なことではありません。
 黙秘権,不利益供述の強要等を扱う授業においては,

  • ① 黙秘権が保障されていなかったら,被疑者・被告人に対しどのような取調べがなされるおそれがあるか,
  • ② 「公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる。」(憲法第36条),「強制,拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は,これを証拠とすることができない。」(憲法第38条第2項)といった規定があってもなお黙秘権が保障される必要はどこにあるのか,
  • ③ 「当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を明らかにしない場合には,その事実を自白したものとみなす。」(民事訴訟法第159条第1項本文)という規定が刑事裁判で設けられていないのはなぜか,

 といったことを検討してもらうことで,なぜ黙秘権を保障することが必要なのかを,掘り下げて考えることのできる授業となっています。

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