関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

「関弁連がゆく」(「わたしと司法」改め)

従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが、このたび司法の枠にとらわれず、様々な分野で活躍される方の人となり、お考え等を伺うために、会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。

写真

お笑い
ラーメンズ 片桐 仁さん

とき
平成26年12月18日
ところ
東京都渋谷区某所
インタビュアー
会報広報委員会委員長 西岡毅

 片桐仁さんは,多摩美術大学の同級生だった小林賢太郎さんとともに,ラーメンズというお笑いのコンビでご活躍されています。ラーメンズの舞台は,コントとも演劇とも言える絶妙な空間設定が特徴で,その独特の世界観にたくさんのファンが魅了されています。最近では,コンビを離れてのお互いのソロ活動も多く,片桐さんは,舞台,テレビへの出演や,個展の開催等,精力的に活動されています。そんな片桐さんに,お仕事からご家族のことまで,色々と語っていただきました。

片桐さんは,いつからお笑いの世界を目指したのでしょうか。

片桐さん 多摩美大に入る前は,絵描きになろうと思っていました。美大に入ったらゴッホになれる,と(笑)。でも,実際に美大には入ったものの,絵描きといっても絵を描くだけではだめで,自分の作品のストーリーを説明できないといけないんです。もちろん描くだけで大丈夫の人もいますが,運やタイミングもあるし,絵描きの世界は難しいなと考えていたとき,大学の同級生だった相方の小林にコンビに誘われまして,お笑いの世界に行くことに決めました。

それがラーメンズ結成のきっかけなんですね。

片桐さん 相方は最初からお笑いがやりたくて,多摩美大のときに落研(*落語研究会)を作ったりしていて。それで大学3年の時,僕は一番彼と一緒にいたこともあって,コンビを組もうと誘われたのがきっかけです。「よしよし,俺のところに来たか」と(笑)。

ラーメンズのお名前の由来は諸説ありますが,今日は本当のことを教えてください(笑)。

片桐さん ウェブに載ってませんでしたか(笑)。実は最初のコンビ名は,「ニイルセンズ」って名前でした。バリバリの日本人なのに,自称「ニイルセン」という同級生がいて,彼は大学内で何をしても人気者だったので,それにあやかってということで。でも,当時,僕らは毎月のようにコンビ名を変えてたんです。例えば,太ってもいないし金髪でもないのに「デブと金髪」とか。そうしたところ,ある日,相方が興奮した様子で電話かけてきて,「『ラーメンズ』がまだ残ってたよ!誰にも使われてない!」って。フードレポートとして仕事がくるかもしれないし(笑),なんだか泥臭い感じがかえって格好いいように見えて,ラーメンズに決めました。

ラーメンズといえば,コントのイメージですが,結成当初は漫才もやっていたとお聞きしました。

片桐さん 相方の家にはお笑いのビデオライブラリーが充実していました。当時は,ダウンタウンさんのコント番組が全盛期の頃で,あと,深夜にコント番組をよくやっていて,それらのビデオを一生懸命見て研究して,まずは二人で漫才をやっていました。

漫才時代のボケとツッコミの役割はどうでしたか。

片桐さん 最初は相方がボケて,僕がツッコミでした。大学内ではそれでも受けてましたが,外ではなかなか受けなかった。ボケとツッコミの役割を入れ替えたり,二人ボケにしたりと工夫しましたが,なかなか難しかったですね。

コンビ結成当初はご苦労があったんですね。

片桐さん 例えば,ある番組で,観客は面白くないと思ったら手を挙げて,5人が手を挙げたら即退場というのがあって,僕らの出番のときは,僕らがステージに出た瞬間に2〜3人が手を挙げたりということもありました。そんなときに,イッセー尾形さんやバナナマンの舞台を観に行って,独特のコントの世界をやっていらして,我々も漫才よりこちらの世界の方が向いているのではないかと。

それで最終的にコントに落ち着いたんですね。例えば,ラーメンズのネタの「現代片桐概論」のように,片桐さんはただ黙って立っていて,小林さんだけが講義調で話すというスタイルのコントは大変斬新でした。

片桐さん あれはあるライブで,小林から,「明日は猪木のポーズで黙って立っててくれ」と言われて,何をやるかは一切教えてもらえず,練習無しにいきなり本番であのコントをやったんです。他にも,「日本語学校」というネタ(*二人が日本語学校の外国人の教師と生徒に扮して日本語の授業を行うというコント。教師役の小林さんのコメントを,生徒役の片桐さんがオウム返しに繰り返していくというスタイル。)なんかも,練習無しで突然の本番でしたね。

そういったコントが受けて,テレビにも出演されるようになったんですね。

片桐さん テレビに出るようになって,単独ライブもやるようになりました。まず,1998年の年末にNHKの新人の番組に出られて,その次の年の1月に単独ライブ,その後3月にはNHKの「爆笑オンエアバトル」に出られるようになりました。「爆笑オンエアバトル」に初めて出たときに先程の「現代片桐概論」をやったらお客さん受けが良くて,ダークホースだった僕らに点が入ったんです。まあ,あのネタでは,僕は突っ立ってるだけで何もしてないんですが(笑)。

その3〜4か月がブレークのきっかけだったんですね。

片桐さん あのころは,NHKのオンエアバトルでも何をやっても受けて,ファンレターもたくさんもらうし,ちょっと調子に乗りましたね(笑)。最初は僕の見た目のせいで全然受けなかったのに,この手のひら返しは何だと思いましたけど。

ラーメンズの舞台は何のセットもなくて,箱や小物だけが置いてあるようなシンプルなセットが多いですが,それはどういう狙いからでしょうか。

片桐さん 元々は実は予算がないという理由(笑)。衣装,セット代がかからないですから。当時の僕らの収入は,舞台のチケット代だけ。地方公演になると宿代と交通費もかかります。

ラーメンズは一つの公演の準備のためにどのくらい練習するんですか。

片桐さん それは秘密なんです(笑)。

台詞はどうやって覚えますか。

片桐さん どうやったら覚えられるかと未だに思いますねぇ。読み合わせで覚えて,立ち稽古で,の繰り返しです。僕は映像で覚える感じです。台本の右の頁のこの辺りだな,とか。だから台本が変わって改行とかあると覚え直すのが大変で。

小林さんは自分で台本書いているので,最初の読み合わせのときからセリフを覚えているんですか。

片桐さん そんなことないですよ。でも,賢太郎は,昔は覚えるのが遅かったのに,あるときから早くなりましたね。

舞台ですと,台詞を忘れると大変ですよね。

片桐さん 台詞がとんで頭真っ白というのはありますね。そういうときは,その役に沿ってアドリブで似たようなことを言うしかないです。ちなみに,小林が台詞を間違えたとき,その間違いの台詞に言葉を返す僕の方が戸惑うわけです。それで,相方はアドリブが効くほうですから,こちらの戸惑いをうまく使った返しをしたりして,まるで,間違えたのが僕みたいに見えるっていう(笑)。

アドリブが延々続くように見えるコントもありますが,アドレブは多いんでしょうか。

片桐さん 基本はアドリブなしです。もちろん,その時のお客さんとの空気を見てアドリブを言うこともあるけど,アドリブで受けたら台本に落とし込みますので,アドリブから派生して台本になっていく感じですね。アドリブに見えるように演技したりということもあるのかな~。

そうだったんですね,もっとアドリブが多いのかと思ってました。舞台でのトラブルで印象的なものはありますか。

片桐さん コント中に気絶したことがあります。セルフで気絶ってあまりないでしょう。顔を赤くするのが子どものときから得意で,それをコントに盛り込んだんです。で,本番中自分で息止めて,顔真っ赤にしてて,それで息を吸ったらバタンと倒れちゃったんです。その時は,賢太郎が舞台を止めて,僕を起こしてくれたらしいんですけど,僕は,新婚だった僕の部屋に賢太郎が入ってくるという夢を見てました(笑)。その日は受けなかったな~。その日の公演アンケートは「お大事に。」ばかりでした(笑)。

ラーメンズのコントには,歌が出てくるものも多いですが,あれはどうやって覚えているんですか。まさか楽譜とかないですよね。

片桐さん あれは,相方の歌を直接聴いて覚えるんです。僕が歌うと,キーが違う!と指摘されたりしながら。

小林さんはどうやって歌を作っているんですか。

片桐さん あ,それは僕も知らないですね。多分,賢太郎は鼻歌で作ってるんじゃないかな。特殊能力ですね。本当に天才だと思う。

最近では活動の主な場所はテレビではなく,舞台の方が多いでしょうか。

片桐さん テレビでコント番組をやったんですが,あまりうまくいかなかったんです。それで,「テレビは止めよう」と相方が言いまして。単独公演で暮らしていけたら一番いいと。「確かに」とは思いましたが,俺はテレビにもちょっと出たかったですね。

舞台とテレビは違いますか。

片桐さん テレビは,カメラフレームに写っているところしか見えないですよね。でも,舞台だと,お客さんが自分でフレームを決めることが出来る訳です。舞台を観に行って,あえて喋っていない人に注目するなんていうのも面白いかもしれません。インターネットでいつでも何でも見られるこんな時代に,わざわざチケットを買って劇場に出かけて行ってというのは貴重な体験だと思います。是非,劇場に足を運んでほしいですね。

これからどういう役がやりたいとかありますか?

片桐さん これまではオタク系とIT系とか漫画家とか内にこもった役が多かったですが,どんな役でもやってみたいです。あ,だけどラブシーンはあまりやりたくない(笑)。

これまでのラブシーンがトラウマになっているとか(笑)。

片桐さん ある映画でキスシーンをやったんですが,撮影の前,しっかり歯を磨いてフリスクも食べて,準備をしっかりして撮影に臨みました。そして,いざキスすると,ものすごく相手を好きになっちゃうんです。ちなみにその作品では,女の子の方から突然キスされて驚くという役だったんですが,リハーサルではうまくできたんですが,いざ本番になると自分からもらいにいっちゃって(笑)。

(笑)。話しは変わりますが,休日はご家族と過ごされていますか。

片桐さん はい,うちは上が10歳で,下が3歳ですが,皆で映画を見に行ったり。

育児もやってらっしゃいますか。

片桐さん 子どもをお風呂に入れたりしますよ。でも,下の子の髪洗うとき,頭からバシャーとお湯をかけるので必ず号泣されるんです。「こんなに嫌だと言ってるのに〜」と言われますね。

10歳のお子さんは,もう小学生なんですね。

片桐さん写真:コロコロコミックをくり抜いて隠した3DS 上の子はもう,ちょっと思春期に入ってます。今,命より大事なのは任天堂の3DSなんです(*手の平サイズのゲーム機)。ところが,それを自分で隠しておいて,1年前にどこに隠したか分からなくなったんです。もはやリスですよ。結局は,冬服のポケットに入れたままだったんですけど。それで,今年の6月ころ,うまい隠し場所を見つけたらしく,嬉しくて仕方なくて,こちらに言いたくてしょうがないんです。それでしびれ切らして「どこにあるのかな~」って言ってたら,なんとコロコロコミックをくり抜いて隠してました(笑)。天才だと思いました。充電もそのまましてるから,もはやコミックが3DSのケース。

それはかわいいですね。最後になりますが,弁護士のイメージというといかがでしょうか。

片桐さん コントの中の役でやったことはありますけど,今まで実際に仕事で会ったことはないですからね。やっぱり裁判っていっぱいあるんですか。

弁護士にもよりますが,基本的には週に何回かは裁判所に行って裁判やっていると思います。

片桐さん そうなんですね。僕らの業界は,裁判沙汰になったら職業的にシャレにならないですから,もめごとにならないように気をつけています。そう言えば,テレビブロスという雑誌の連載を12年やっているんですが,つい先日,法廷画家の人にインタビューしました。東京では,法廷画家はわずか13人だけなんです。テレビ局や新聞社の専属の人もいるみたいですね。面白いインタビューですので,是非とも読んでください。

是非拝見したいと思います。今日はありがとうございました。


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